Success Stories導入事例
コアなAI人材の育成を目指し、社内トップのエンジニアに成長を促す研修を実施
- 研修前の課題・背景
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通常業務を遂行しつつ他のメンバーの指導や自学自習を行うのは限界があった
- 研修後の効果
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受講者全員がE資格に合格し、受講者のキャリアアップに繋がった
研修のポイント
- 数理モデルなどAIの本質を理解しているコアエンジニアを増やすために、社内でも実績があるメンバーに外部研修を実施
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対象者
社内トップのエンジニア
- 研修内容
AIのニーズが高まり、ディープラーニングに精通した人材が必要に
― 「現場で使えるディープラーニング基礎講座」を利用する上で、どのような課題を抱えていましたか?
当社では企業と連携して「AIの画像解析を用いた帳票のデジタル化ソリューション」や、「ECサイト向け画像検索エンジン検証サービス」といった、AIを用いた新しいソリューションを共同で企画・開発しています。昨今、このようなAIを実装した開発ニーズが高まり、それに応じて社内に機械学習やディープラーニングに精通した人材を増やしたいと考えていました。
共同研究を行う電気通信大学(以下、電通大)のゼミを受講して感じたのは、AIのスキルを高めるためには、数学の知識をはじめとした本質を学ぶことが重要だということです。
社内でもMicrosoft Azure (アジュール)AIというプログラミング不要のAI開発ツールを使って自学自習しているメンバーはいましたし、技術書の輪読会や勉強会も随時開催していました。しかし、社員が通常業務を抱えながら他のメンバーを指導したり自学自習するのは限界があると感じていました。
意欲の高いメンバーにより質の高い知識を提供すべく、外部のプロフェッショナルに教えてもらうことでディープラーニングの習熟度を高めたいと考えました。
― どのような社員が今回の受講対象でしたか?
Pythonがある程度書けて、機械学習の基礎を理解している5名を対象としました。社内でもプログラマーとして実績があり、実力のあるメンバーたちです。学生時代の卒業論文でディープラーニングをテーマとしていた人もいます。入社年次やポジションによらず、社内各部署からの推薦で受講してもらうことになりました。
AIの知識がないエンジニアではなく、社内トップクラスのエンジニアに講座を受講してもらおうと考えたのは、コアな「AI人材」を育成したいと考えたからです。
私の考える「AI人材」とは、3つのパターンがあります。
①数理モデルなどAIの本質を理解しているコアエンジニア
②フレームワークや既存のAPIを使ってAIアプリケーション開発ができる人材
③AIビジネスや法務・アライアンスなどに精通したマネージメント系人材
今回はまず①を増やし、E資格を取得してもらうことを目標としました。
― ディープラーニングの「本質」を身につけることに、どのような意義がありますか?
本質を理解しておけば、エンジニアとして大きな成長が望めます。学会で発表されている論文が読めるようになりますし、難易度の高いAIのプログラムをすばやく書けるようにもなるでしょう。
さらに期待できるのは、応用力です。例えば、共同研究をしている電通大の学生のみなさんは、機械学習の基本原理の一つである「バックプロパゲーション」というアルゴリズムを、数式を用いて説明できるよう先生から指導されています。
このように基礎や本質を学んでいれば、AIがそもそもどのような要素で構成されていて、どのような挙動をとるのかなど、重要なポイントを理解できるため、各要素を置き換えたり、新たな要素を加えるなどして、新しいAIのソリューションを生み出すことができます。基礎力を高めることで、質の高い応用ができるようになるのです。
そして応用力が高まれば、ビジネスの幅を広げることにも繋がります。これから先AIの分野は、画像分類などの「定番の」タスクが一般に広まっていくと同時に、そこからさらに付加価値を加えるための、カスタムAI開発も増えていくことが予想されます。当社でも、このような領域のプロジェクトを増やしていきたいと考えています。
アカデミックでも成果を出している講師陣から基礎を吸収し、
他の受講者から刺激を得る
― 外部研修を検討された時、何が一番の決め手となりましたか?
ディープラーニングの本質を学べる講座があることでした。中でも「現場で使えるディープラーニング基礎講座」は、天下り式にお手本のコードを書き写すだけではなく、講義形式やグループワークなど様々なスタイルで、ディープラーニングの基礎を学ぶことができます。
あえて会場に出向いて学ぶ時間をしっかり取ることで、仕事をしながら学習する習慣をつけることも意図しました。また、この講座では他社から来た受講者とグループワークをすることもあります。同じスキルレベルの方々が日々どのようなマインドでAIを学び、仕事に向き合っているのかを知って、刺激を受けて欲しいとも思っていました。
もちろん通常業務と並行して受講してもらうため、サポート体制や期間、ひとり当たりの受講料なども重要でした。最終的には現場のエンジニアに「お試し受講」をしてもらい、評価の高かった講座に決めました。
― 講師陣・講座内容はどのようなところが魅力でしたか?
フレームワークに頼らず、微分・積分や確率・統計などの計算をたくさんこなし、計算グラフを書いたりすることで基礎力が身に付くところです。
ディープラーニングの領域は、書いたプログラムが動けば終わりではありません。重要なのは、できあがったAIが高い精度を出すこと。「現場で使えるディープラーニング基礎講座」では操作的知識だけでなく、こうした本質的な知識が身につく点が大きな魅力でした。
以前からの知り合いの鈴木 藍雅さんをはじめとする講師陣がアカデミックな領域でも成果を出しているところにも惹かれましたね。
受講者5人全員がE資格に合格し、R&Dや新しいプロジェクトに抜擢
― 受講した社員からは、どのような感想がありましたか?
計算問題などをたくさんこなしたことで、基礎力が上がったという声があがりました。また、ある程度ディープラーニングの知識があるエンジニアでも、機械学習のアルゴリズムをすべて習得している人はそれほど多くありません。この講座を通じてディープラーニングに必要な知識を網羅でき、理解の浅かった分野を深く学べたという声もありました。
― 受講した結果、どのような成果が得られましたか?
受講した5人全員がE資格に合格することができました。(2020年9月時点。2022年11月時点で累計14名合格。)それだけでなく、受講者のキャリアアップを叶えることもできました。
例えばAIによるR&Dを行う部署への異動が実現したり、それまで自学自習でG検定や統計検定2級を取得していた人材が、この講座を通じてE資格を取得したことでデータ解析のプロジェクトに抜擢されました。
狙い通りE資格の取得者が増え、スキルの高いエンジニアの育成にも繋がり、受講して本当によかったと思っています。
― 即戦力人材の中途採用と、研修による育成のどちらを重視されていますか?
研修による社内育成に力を入れるつもりです。確かにデータサイエンティストやディープラーニングのスペシャリストなど、即戦力になりうるAI人材を簡単に採用できればいいですが、こうした人材はどの企業からも引く手あまたです。また、当社のカルチャーにフィットするかどうかなど、別の問題も配慮が必要です。そうしたことを総合的に考えると、今いる社員の育成に力を注いだ方がメリットが大きいと考えています。
社員には「T型人材」として様々な分野に対応できるようになってほしいため、この研修を受講することでスキルの幅を広げ、キャリアアップのきっかけにして欲しいと考えています。
― 今後、どのようにAI人材を育成していく予定ですか?
冒頭にお話したAIを扱えるコアエンジニア、アプリケーションエンジニア、マネージメント系人材をバランスよく育てていきたいですね。
コアエンジニアやアプリケーションエンジニアを継続的に育成することができれば、引き受けられる業務の幅も深さも広がります。また、AIのわかるマネージャーが増えれば、AIを活用したプロジェクトを企画したり、契約関係についても柔軟に対応できるようになるでしょう。すると、AIに関するプロダクト開発とビジネスづくりに精通した会社として認知度を上げることができるはずです。
今後も社員教育への投資を惜しまず、E資格を持った人材も増やしていきたいですね。積極的にスキルアップAIの講座を利用し、社員の成長に貢献したいと思っています。
(お話を伺った方)
株式会社オープンストリーム
執行役員/CTO/技術創発推進室 室長 寺田英雄様
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