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「まず教育」がDXを停滞させる?現場の不満を「AIの成長」に変えるアジャイル型開発のススメ

「AIを導入しよう」と意気込んで全社研修から始めたものの、3ヶ月経っても現場から「具体的に何が便利になったの?」と聞かれ、答えに詰まってしまう――。DX推進の現場では、こうした閉塞感に苛まれる担当者は少なくありません。莫大な予算をかけたシステム開発のように100点満点のリリースを目指すあまり、現場の期待感が冷え込んでしまう。こうした「準備先行型」の停滞から脱却し、2週間で成果を出し始めるための新常識を解説します。
*この記事はスキルアップNeXtが開催したセミナー「Copilot Studioによる『AIエージェント』高速開発 ~現場実装から始める『定着化』の最適解~」の内容を再構成したものです。
スピーカー

株式会社スキルアップNeXt
エクスペリエンスデザインユニット AI/DXマーケティンググループ
菅井碩道
総合人材会社にて新卒採用・営業・マーケティングに従事した後、スキルアップNeXtに参画 。 シリーズ累計受講者数31万人、導入社数1,000社を超える同社の実績を背景に、単なるツール導入に留まらない「組織を変えるAI/DX人材育成」のノウハウを発信している。現在は、企業のデジタル化を加速させる実践的なアプローチ手法の啓蒙に注力 。
なぜ今、AI開発は「アジャイル型」へシフトすべきなのか?
結論:「完璧な計画」への固執が、AIプロジェクト最大のリスクとなる
菅井:
結論として、AI導入において今企業に求められているのは、「完璧な計画」ではなく、「最速の失敗と改善」を前提としたアジャイル型開発への転換です。
私は日々、多くの企業が陥りがちな「負のループ」について警鐘を鳴らしています。それは、「AIを導入しよう」と意気込んで、全社研修やeラーニングから始めてしまう「教育先行型」のアプローチです。現場のユーザーは「何ができるかわからない」状態で操作方法だけを教えられても、自身の業務での具体的な活用イメージが湧きません。結果として「自分の業務がどう便利になるのか?」という疑問だけが残り、プロジェクトが形骸化してしまいます。

この停滞の根本原因は、従来のシステム開発(ウォーターフォール型)の常識である「100点の完成品を目指す」手法を、生成AIプロジェクトにそのまま持ち込んでいることにあります。AI開発において、机上で入念な要件定義や計画に時間をかけすぎると、むしろ導入を妨げるリスクは大きくなります。
背景:なぜ「60点」での最速リリースが最適解なのか
AIプロジェクトにおいては、「60点の完成度」であっても即座に現場へリリースすべきです。私がそのように推奨する理由には、大きく分けて「技術的背景」と「心理的背景」の2つがあります。
- 技術的背景(進化のスピード)
生成AIの進化速度は極めて速く、長期間の要件定義を行っている間に、前提となる技術そのものが変わってしまう不確実性をはらんでいます。「やってみないと分からない」という技術特性を考慮すれば、机上の空論で要件を固めることに意味はありません。 - 心理的背景(ニーズの言語化の難しさ)
現場のユーザーは、実際に「動くAI」に触れてみて初めて、自身の業務における具体的な課題やAIへの要望を言語化できるものです。具体像がないまま操作方法だけを学ばせたり、完璧なシステムを待たせたりするほど、現場のAIへの期待感や当事者意識は失われていきます。
だからこそ、まずは「動くもの」を最速で現場に提供し、AIによる業務効率化の原体験(小さな成功体験)を作ることが、組織を変革する第一歩となります。
ここが成功のカギ
では、具体的にどのようにして「60点のAI」に対する現場の反発を防ぎ、むしろ前向きなフィードバックを引き出してAIを継続的に育てていくのでしょうか?
本セミナーの配布資料(およびアーカイブ動画)では、現場の不満をAIの精度向上に直結させる「OJTサイクル」の回し方や、IT部門が安全性を担保するための「ガードレール」の引き方について、図解を交えながら詳しく解説しています。アジャイル開発の具体的なステップを知りたい方は、ぜひ以下より詳細をご確認ください。
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Copilot Studioが実現する「現場主導」の高速開発と育成サイクル
圧倒的な初速:数週間かかっていたFAQ構築を「5分」に短縮
では、準備に時間をかけられないのなら、どうやって品質を担保するのでしょうか。その答えの一つが、MicrosoftのCopilot Studioを活用した高速開発です。
Copilot Studioの最大の武器は「生成型回答」機能です。プログラミングを行うことなく、社内のPDFマニュアルや規定集のURL、特定のデータフォルダを指定するだけで、そのデータに基づいた回答を生成するAIボットを構築できます。これにより、従来のチャットボット開発で想定Q&Aの作成などに要していた数週間単位の工数は、わずか数分から数時間という「分単位」へと劇的に短縮されます。この圧倒的な初速こそが、前述した「最速リリース」を可能にする正体です。

明日から実践できるアクション!現場の「不満」をROI創出の起点にする
開発工数を削減し最速でリリースした後は、AIを「完成品」ではなく期待の「新入社員(エージェント)」として迎え入れ、現場主導で育成していくOJTサイクルの構築が不可欠です。
【自社への適用とROI創出のアクションプランの例】
明日から実践すべき具体的なアクションとして、まずは自社の「経理部への社内問い合わせ対応」など、対象範囲を絞ったスモールスタートをご提案します。
- 既存の経理規程データを読み込ませた60点のAIエージェントを、2週間で現場にリリースします。
- リリース直後は「この回答は間違っている」「使いにくい」といった不満が必ず出ます。しかし、この現場からの不満こそが最良の教材です。
- Copilot Studioの「分析画面」を確認し、「ユーザーが聞いて答えられなかった質問(=現場のリアルなニーズ)」や「途中で放棄された会話ログ」を抽出します。
- 抽出したログに基づき、現場の業務担当者自身が不足している回答データや指示を追加し、AIをチューニングします。
この実践的な改善サイクルの運用により、月間数十時間発生していたバックオフィス部門の問い合わせ対応工数を大幅に削減(コスト削減)できるだけでなく、浮いたリソースをより付加価値の高いコア業務へシフトすることが可能になります。さらに、「自分たちでAIを育て、業務を楽にする」という成功体験が、現場担当者を自律的な「市民開発者」へと昇華させ、組織全体に持続的な生産性向上(ROI)をもたらす強力なエコシステムへと成長します。
※現場主導のOJTサイクルの回し方については、セミナーの「現場実装から人材育成へ」セクションで詳しく解説しています。
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まとめ:自社で「高速開発」を再現するための次のステップ
我々が目指すべきは、単なるAIツールの導入ではなく、AIとの協働を前提とした「ビジネスの再創造」と「組織文化の変革」です。
「まず教育」から入るのではなく、最速で現場に実装し、「運用しながら人を育てる」。現場の痛みを最もよく知る業務のプロが自らAIを育て、IT部門がその環境をガードレールとして支える仕組みを作る。このアジャイルな姿勢こそが、停滞するDXを前進させ、他社との競争優位性を生み出すための確実なロードマップとなります。
本セミナー資料の完全版では、記事でご紹介した「2週間での現場リリース・ロードマップ」の詳細や、現場の不満を精度向上につなげる「改善ワークフロー」、さらには「野良AIを防ぐガバナンス設計(CoEモデル)」について具体的に解説しています。AI導入の停滞を打破し、自走する組織を作るための実践的な指針として、ぜひお手元にご用意ください。
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