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DX銘柄とは?選定プロセスとメリット、認定企業の取り組みをわかりやすく解説


DX銘柄とは、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを構築し優れたデジタル活用の実績が認められた企業を指します。経済産業省と東京証券取引所、IPAが共同で選定する銘柄で、投資家にとって魅力的な企業として注目され、今後の成長が期待されています。
本記事ではDX銘柄について、その選定プロセスから企業が得られるメリット、認定された企業がどのような取り組みを進めているのかをわかりやすく解説します。
DX銘柄とは?その定義と注目される背景
はじめに、DX銘柄の定義と、なぜ日本においてこのような制度が導入され注目されているのか、その背景と目的について解説します。
「DX銘柄」の定義
DX銘柄とは、2025年現在、経済産業省・東京証券取引所・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で認定し発表する「企業価値の向上につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための仕組みを構築し、優れたデジタル活用の実績が認められた上場企業」を指します。
経済産業省は、日本企業のIT活用を推進するため、2015年から東京証券取引所と共に「攻めのIT経営銘柄」を選定してきました。これは、「ITを駆使して経営革新や収益向上、生産性向上を目指す企業」を評価するものでした。
2020年からは、さらに進んでデジタル技術を前提にビジネスモデル自体を抜本的に変革し、新たな成長と競争力強化を目指す企業を「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定し、現在に至ります。
なお、「DX銘柄」「DX注目企業」に選定されるためには、「DX認定制度」に申請し、認定を取得することが必要です。(後述)
日本におけるDX銘柄の導入背景と目的
DX銘柄制度が導入された背景には、日本企業が直面する構造的な課題と、政府が掲げる国家的なデジタル戦略があります。
1. 日本企業の国際競争力強化と生産性向上を促す
これまで日本企業は、高品質なモノづくりや丁寧なサービスで世界市場でも高い評価を得てきました。しかし近年、グローバル市場において、データやデジタル技術を駆使して新たなビジネスモデルを次々と生み出す海外企業に比べて、日本企業のデジタル化の遅れが現在も指摘されています。
一つには「2025年の崖」問題があります。経済産業省は2018年に「DXレポート」を発表し、既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化することで、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしました。この「2025年の崖」は、多くの日本企業が抱えるレガシーシステム問題を浮き彫りにし、DXの喫緊の必要性を強く認識させるきっかけとなりました。
なお2025年現在もDX推進が進まない事業者は一定数残っているほか、既存システムの入れ替えにとどまり、本来の意味のDXに進行できていないという指摘もあります。
(参考)日経クロステック
また製造業をはじめとする日本全体の生産性の伸び悩みも課題です。技術者の高齢化による技術継承問題、少子化による人手不足と、デジタル化の遅れなどが複合的に絡み合い、国際競争力の低下や経済成長の鈍化を招く懸念があるとされています。
これらの課題をDX推進を通じて解決(具体的には業務プロセスの効率化、自動化、データ活用による最適化など)し、企業の生産性を向上させることが期待されています。
DX認定制度、そしてDX銘柄は、日本企業がデジタル技術を最大限に活用して国際競争力を強化し、生産性を向上させることを促す目的で導入されたものといえるでしょう。
2. DX推進への取組を可視化し投資家からの評価を促進する
企業のESG(環境・社会・ガバナンス)要素への関心が高まる中、DX推進もまた、企業の持続可能性を示す重要な指標の一つとなっています。しかしDXは、具体的な投資額や短期的な売上増に直結しにくい側面があるため、投資家にとっては評価がしづらい傾向がありました。
企業価値向上のための取り組みが投資家に十分に伝わらないと、企業はDXへの投資に踏み切りにくくなります。
DX銘柄は、経済産業省と東京証券取引所、IPAという公的な機関が、「この企業はDXを経営戦略の核として真剣に取り組んでおり、将来的な企業価値の向上が期待できる」と認定するものです。投資家はDX認定取得やDX銘柄選定という事実を知ることで、どの企業がDX推進に積極的に取り組んでいるか見極め、投資判断に役立てやすくなります。
3. 成功事例を普及し全体的な成長を促す
DXは、企業によってその進め方や成果が多種多様です。手探りでDXに取り組む企業が多い中で、成功事例を共有し、「お手本」を示すことは、日本全体のDX推進において非常に重要です。
DX銘柄に選定された企業の取り組み内容は、広く社会に公表されます。まだDXに取り組んでいない企業も、例えば同じ業種の他企業がどのようにDX推進したか参考事例を調べ、DXへの理解を深めることで自社のデジタル化と成長を加速させるヒントを得られます。
またDX銘柄として選ばれることは、企業に所属する従業員などが自社の取り組みに誇りを持てると同時に、他の企業との競争意識を高めます。まだ選ばれていない企業も、選定された企業の成功事例を参考にDXに取り組み、ライバルに追い付き追い越そうとするでしょう。ここから、日本企業全体のDXレベルやDXリテラシーの底上げ、成長に繋がることが期待されます。
DX銘柄として選ばれるために知っておきたいDXの定義
ところで、DX銘柄として選ばれるのは、単に「最新のITツールを導入している企業」というわけではありません。
後述する選定と評価の基準においては、「デジタルガバナンス・コード」における「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」に対応した評価項目をもとに、評価や審査が実施されています。

(出典)デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~
これらから、以下の要素(=DXの定義を満たしているかどうか)が評価の要素となると考えられます。
- DXが一時的な流行やIT部門だけの取り組みではなく、経営戦略の中核に位置づけられ、経営トップの強いリーダーシップのもとで全社的に推進されていること。
- デジタル技術を活用して、既存の製品・サービスや業務プロセスを抜本的に変革し、生産性向上やコスト削減、品質向上を実現しているだけでなく、新たな製品・サービスやビジネスモデルを創出していること。
- デジタル技術を通じて、顧客への提供価値を高め、顧客満足度やロイヤルティを向上させていること。
- デジタル化に対応できる組織文化の醸成や、DXを推進するための人材の確保・育成に積極的に取り組んでいること。
- 収集したデータを分析し、意思決定や新たな価値創造に活かす「データ駆動型経営」を実践していること。
- 上記のDX推進が、企業の競争力強化、収益性の向上、そして持続的な企業価値の向上に貢献していること。
このように、DX銘柄は、デジタル技術を単なるツールとして導入するにとどまらず、企業変革へのきっかけとして、「具体的な成果」を出している先進企業を選出する制度と言えます。
DX銘柄選定基準・評価方法
経済産業省が主導するDX銘柄の選定においては、以下のような要素が重要な評価基準となります。単なる「デジタル化」「IT導入」を超えた、経営戦略としての高度なDXが、頂点となるDX銘柄には求められています。
DX推進の評価は、その進捗度合いに応じて4つの段階に分けられています。

(出典)経済産業省:「DX銘柄2023」選定に向けた調査を実施します
DXへの取り組みがまだ初期段階で、戦略や体制をこれから整備する企業は「DX-Ready以前レベル」と位置づけられます(図の最も下の階層)。
その一段階上には、デジタル化を進めており今後のDX推進のための準備が整っている「DX-Readyレベル」の企業があります。「DX-Readyレベル」の企業は「DX認定制度」の対象となります。
さらにDX認定を受けた事業者のうち、積極的に情報公開を行い、将来性が期待される企業は「DX-Emergingレベル」、そして「DX-Excellentレベル」へと進みます。これら高レベルの企業を評価する制度として、上場企業向けには「DX銘柄」が設けられているのです。
なお、上場していない中堅・中小企業向けには「DXセレクション」が設けられています。DXセレクション受賞の事例については後述します。
1.DXセレクションについて
DXセレクションとは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなる優良事例を選定する取組です。優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進及び各地域でのDXの取組の活性化を目的としています。
(出典)経済産業省:DXセレクション2025を選定しました
DX銘柄に認定される前段階の「DX認定」取得については以下のリンク先ウェブサイトをご確認ください。
【参考図】DX認定制度の流れ

(出典)IPA:DX認定制度のご案内
DX銘柄選定企業が得られるメリット
ここでは、DX銘柄に選ばれることで得られる4つのメリットについて解説します。
【メリット1】企業のブランドイメージが向上する
DX銘柄への選定は、公的な機関からの「お墨付き」を得ることになり、企業のブランドイメージが向上します。
「先進的な取り組みをしている企業」「将来性のある企業」といったポジティブなイメージが定着し、顧客や投資家などのステークホルダーからの信頼獲得に繋がります。
【メリット2】社会的評価が向上する
DX銘柄に選定されることは、企業が単に利益を追求するだけでなく、社会全体のデジタル化推進に貢献しているという評価にも繋がります。
前述のとおり、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)への関心が高まる中、DX推進は企業の持続可能性を示す重要な要素です。社会的な評価が高まることで、優秀な人材の確保や金融機関からの融資条件の優遇、自治体との連携強化など、多岐にわたるメリットが期待できます。
【メリット3】株価の上昇につながる
DX銘柄に選定された企業は、その成長性と将来性が公に認められたことになります。これは投資家にとって非常に魅力的な材料です。結果として株価の上昇に繋がり、資金調達の選択肢が広がる可能性も高まります。
【メリット4】従業員のDXに対する関心が高まる
企業がDX銘柄に選定されることは、従業員にとっても大きな誇りとなるでしょう。自分たちの会社が国や公的機関に認められ、先進的な企業として評価された事実は、従業員のモチベーション向上に直結します。
「自分たちの日頃の活動がDX推進の一翼を担っている」「DXによって自社が成長している」という意識が芽生え、自律的な学習や業務改善への意欲が高まることも期待できます。
(参考)DX認定取得のメリット
DX銘柄に選定される前段階である「DX認定」の取得でも同様のメリットが得られます。
DX認定を受けることで、企業は自社のDXへの積極的な取り組みを多様な関係者に効果的に伝えられるほか、IPAサイトの認定事業者リストに企業名が掲載され、さらに、その事実を広報するために、認定ロゴマークを自社のウェブサイトや名刺などで使用できるようになります。
DX銘柄の選定プロセス
DX銘柄の選定は、経済産業省・東京証券取引所・IPAが共同で実施する「DX調査」への回答を基に、「一次審査(評価)」「二次審査(評価)」「最終選考」を経て行われます。選定では、企業のDX戦略、組織体制、成果、ガバナンスなどが評価されます。ここではDX認定の選定の流れについて解説します。
申請~認定の流れ
毎年、経済産業省と東京証券取引所、IPAのウェブサイトを通じて、DX銘柄の募集要項が公開されます。この募集要項には、応募資格、申請期間、提出書類、評価基準の概要などが詳細に記載されています。上場企業が対象となります。
申請から認定までのプロセスは以下のとおりです。

(出典)デジタルトランスフォーメーション|DX銘柄| 2025, p.4
(参考)
経済産業省:「DX銘柄2025」選定に向けたDX調査の項目を公表します
IPA:DX銘柄
1. DX調査への回答
東京証券取引所に上場している企業は、まず「DX調査」に回答する必要があります。この調査は、企業のDX推進状況を把握するためのもので、選択式と記述式の質問で構成されています。
2. 一次審査
DX調査の回答内容に基づき、一次審査(一次評価)が行われます。
一次審査では、企業の財務状況(ROE、PBRなど)や、DX戦略、組織体制、成果などが評価対象となります。
3. 二次審査
一次審査を通過した企業を対象に、二次審査(二次評価)が行われます。
二次審査では、DX調査の記述回答をDX銘柄評価委員が審査します。企業のDX実現能力、ステークホルダーとの対話、企業価値貢献などが評価されます。
4. 最終選考
二次審査(二次評価)の結果を踏まえ、DX銘柄評価委員会が最終審査を行います。
最終選考では、企業のDX戦略、組織体制、成果、ガバナンスなどが総合的に評価され、DX銘柄が選定、公表されます。同時に、選定企業の取り組み内容や評価ポイントなども、事例集や報告書として公開されることが一般的です。
なお、DX銘柄に選定された企業の中から、さらに以下が選定されます。
- 特に優れた取り組みを行う企業:「DXグランプリ」
- DX銘柄には選定されなかったものの注目すべき取り組みを行う企業:「DX注目企業」
- 特に優れた取り組みを継続している企業:「DXプラチナ企業」
DXプラチナ企業選定には要件があり、以下の条件が必要です。
- 3年連続でDX銘柄に選定されている
- 過去にDXグランプリに選定されている
DX銘柄に学ぶ:DXを推進する具体的な取り組み事例
ここでは2025年度の「DX銘柄」と「DXセレクション」に選出された企業の一覧を紹介し、その中から具体的な取り組み事例を紹介します。
2025年に選出されたDX銘柄一覧
経済産業省は2025年5月30日(金)、東京証券取引所およびIPAと共同で、「DX銘柄2025」と「DX注目企業2025」を選定・発表しました。さらに、その中から「DXグランプリ企業」としてデジタル時代を牽引する企業を表彰し、特に優れた取り組みを継続している企業は「DXプラチナ企業2025-2027」に選定されました。



(出典)経済産業省:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)
(参考)DX銘柄2025-2020_攻めIT銘柄2019-2015(pdf形式)
DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)2025に選ばれた企業一覧
経済産業省は、ここまで見てきたように企業のDX推進のため、「デジタルガバナンス・コード」の公表や「DX銘柄」「DX認定制度」などの施策を展開してきました。しかし、DX銘柄の成功事例は大企業である上場企業に偏り、中堅・中小企業にとっては参考にしにくいという課題がありました。
このため、2021年度から、中堅・中小企業の模範となるような優れたDX事例を「DXセレクション」として選定する取り組みを開始し、選定事例を公開しています。地域や業界を超えてDXのノウハウを共有し、中堅・中小企業のDX推進と地域経済の活性化を目指しています。

(出典)経済産業省:DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)
【事例1】DXプラチナ企業に選ばれたDX銘柄の事例(株式会社LIXIL)
DXプラチナ企業2025-2027を取得した、株式会社LIXILの事例をピックアップして紹介します。
LIXILがDXを推進する背景には、2011年のメーカー統合により生まれた事業構造と、それに伴う部門・拠点間の連携不足という課題がありました。同社はDXを通じて、この課題を解決し顧客視点に立った製品・サービス開発を強化することを目指したことが、今回の選定につながったとしています。
LIXILのDX戦略は一貫して「CX(顧客体験)」を軸としており、エンドユーザーの行動変化に着目しています。「個別の製品」から、「顧客が求めるトータルな空間デザイン提案」へと視点を転換し、ショールーム体験の向上やLIXIL全体の提案力強化を図っています。
DX推進のための組織作りとしては、2019年度からデジタル部門でアジャイルな「スクラム」方式を導入。役員や事業部門リーダーとの連携を強化し、共通認識のもとで迅速な意思決定を可能にしています。このスクラム方式は営業やマーケティングにも広がり、特にコロナ禍での在宅勤務やAI活用と相まって浸透しました。結果として、「デジタルツールの民主化」が進みました。結果、従業員が自律的にデジタル課題を解決できるようになり、業務スピードと一体感が向上し、会社全体のDXレベルが向上しました。
サイバーセキュリティ対策としては、過去にあった攻撃経験から学び、ゼロトラストの考え方を導入。重要なデータへのアクセスを厳重に管理し、ネットワークのセグメンテーションやオフラインでのバックアップ保管により、万が一の攻撃時でも事業継続性を確保しています。
AIやデータ活用においては、現在では社員の半数近くが日常業務でAIを利用しています。営業部門では、音声による業務報告の自動化、営業電話の文字化、AIによる効率的なスケジューリング支援ツールを導入し、特にリフォーム市場における営業生産性の向上に貢献しています。
DXの取り組みの中で最も効果的だったのは、2020年春に導入した「LIXILオンラインショールーム」です。コロナ禍での必要性から進化し、AR連携や無人ロボット接客など多様なバリエーションを展開。顧客体験向上だけでなく、従業員の働き方の自由度を高める効果も生み出しています。
LIXILは、人手不足の深刻化や、顧客がより手軽にリフォームを進めたいというニーズに応えるため、DX推進を事業の重要課題と捉えています。リフォームプロセス全体の生産性向上と顧客の「苦痛」の軽減を目指し、オンラインでの製品選定からパートナーへの発注までを自動化できるソリューション開発が不可欠と考えています。
2025年にDXプラチナ企業に選定されたことを受け、LIXILは社員の誇りとし、デジタルを活用して「パーパス(存在意義)」の実現を目指す全社的な取り組みをさらに広く発信していく方針であるとしています。
(参考)デジタルトランスフォーメーション|DX銘柄| 2025, p.98
【事例2】DXセレクションに選ばれた中堅企業の事例(株式会社後藤組)
プラチナに輝く大手企業では自社の参考としてわかりづらい…という方もいるかもしれません。ここでは上場企業ではなくともDXに全社一丸となって取り組み、優れた成果を上げている企業から「株式会社後藤組」をピックアップして紹介します。
山形県米沢市に本社を置く創業100年を迎える総合建設業、株式会社後藤組は、これまで数々のDX関連の賞を受賞しています。
同社がDXを推進し始めたのは約5年前、データドリブン経営の重要性を他社経営者から促されたことが直接のきっかけです。その際、AIとARの時代が来ることを見据え、社内情報のデジタル化と活用基盤の整備が不可欠だと考えました。
もう一つの大きな理由は、新卒学生の価値観の変化です。近年、新卒学生は給与よりも残業の少なさや休日を重視する傾向にあります。建設業は残業や休日出勤が多い業界であるため、優秀な人材の定着には、DXによる生産性向上で労働時間を削減する必要があると判断しました。
ここから、全社員が参加するDXを推進。取り組みの第一歩は、「社員がDXに慣れること」。具体的には、部署ごとに毎月1つのアプリ作成を推進し、既存アプリの使用も促しました。全社員向けのDXワークショップや、自作アプリを発表し表彰するDX大会も開催してモチベーション向上の機会も作っています。
デジタルに慣れてきた段階で、「仕事が楽になるアプリを作ろう」と提案しました。特に「二重入力の排除(情報の一元管理)」を徹底しました。例えば、日報アプリのデータを営業会議資料に自動連携させることで、資料作成時間を大幅削減。また、現場の安全管理においては、QRコードを活用し、作業員が直接情報を入力できるようにすることで、現場監督の事務作業を効率化しました。
IT専門人材が不在だったため、以前はシステム開発を外注していましたが、自社業務に合わないことが課題でした。しかし、全社員でDXに取り組むことで、自分たちの業務を楽にするアプリを自ら開発できるようになり、社員はDXの恩恵を実感しています。これが「もっと楽になるアプリを」という好循環を生み出しました。例えば、GPSと組み合わせた生コン車トラッキングアプリのように、入社3年目の女性社員が生産性向上に貢献するアプリを開発した事例もあります。
後藤組は、DXによる生産性向上を通じて、ここ数年は毎年ベースアップを実施し、社員の平均年収と経常利益を右肩上がりに伸ばしています。これは、生産性向上が実質賃金上昇に繋がるという考えに基づいています。
今後、同社はDXの次のステージとして、積み上げてきた「情報の環境整備」(デジタル化された業務マニュアルやチェックリストなど)と生成AIを組み合わせることで、さらなる生産性向上を目指すと宣言、より生産性の高い建設会社へと進化を続けていく方針であるとしています。
(参考・出典)
【DXセレクション2025】グランプリ企業取組紹介 株式会社後藤組
株式会社後藤組 DXへの取り組み
まとめ
この記事では、「DX銘柄」について、定義から選定プロセス、認定企業が得られる具体的なメリット、そして先進企業の取り組み事例までを詳しく解説しました。
DX銘柄は単にデジタル技術を導入した企業ではなく、経営戦略としてDXを位置づけ、企業価値の向上に繋がる変革を実践している企業が選ばれます。その社会的信頼性と注目度は非常に高く、DX銘柄に選ばれた企業はさまざまなメリットを得られます。
DXは企業にとって今後の発展につながる重要な投資です。DX銘柄制度は、日本企業がデジタル時代において持続的な成長と競争力強化を実現するための指標となる意義をもっています。
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今回ご紹介したデータ分析コンペだけではなく、社内のDXを進めるために必要なコミュニティ構築に関しても支援をすることが出来ます。
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