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ビジネスアーキテクトとは?DX推進に必要な役割とスキル、仕事内容を解説


DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が企業の喫緊の課題となっている現代において、その実現を牽引する重要な役割を担うのが「ビジネスアーキテクト」です。ビジネスアーキテクトは具体的にどんな仕事をするのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、ビジネスアーキテクトが企業変革において果たすべき役割、求められるスキル、そして具体的な仕事内容について、分かりやすく解説します。
ビジネスアーキテクトとは?定義を解説
はじめに、ビジネスアーキテクトについて、意味や企業に必要とされる理由を解説します。
ビジネスアーキテクトとは企業のDX成功に必要な役割
ビジネスアーキテクト(business architect)とは、文字通り英語を直訳すると「事業の設計者」となります。
「アーキテクト(architect)」という言葉は、日本語では従来、主に建築分野における「建築家」「設計者」など、建築物の設計や構造を考える人のことを指していました。
近年、IT分野で用いられる場合は、情報システムの設計や開発において全体的な構造を考えるほか、プロジェクト全般の管理なども行える技術者、あるいはそれらの業務に携わることができる人材、職位、チームを指します。
単に最新のテクノロジーを導入する技術力を持つだけでなく、ビジネス戦略とIT戦略を統合し、企業全体の変革を主導する専門家です。企業が時代とともに変化しDXを成功させる上で、不可欠な役割を担うといえるでしょう。
ビジネスアーキテクトの定義
IPAは、ビジネスアーキテクトを以下のように定義しています。
DXの取組み(新規事業開発/既存事業の高度化/社内業務の高度化、効率化)において、目的設定から導入、導入後の効果検証までを、関係者をコーディネートしながら一気通貫して推進する人材
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「ビジネスアーキテクト」
具体的には、企業の目指す未来像(ビジョン)を描き、それを実現するためのビジネスモデルや業務プロセス、必要な情報システムのあるべき姿を具体化して設計、実現のためのプロジェクトを企画・運用します。
技術だけでなくプロジェクトリーダーとしての資質も必要になることから、IPAではビジネスアーキテクトとして必要なさまざまな認定試験を、スキルごとに実施しています。
具体的には、過去の成功体験や勘などの「根拠のないもの」に基づいてビジネスの方向性を決めるのではなく、「客観的なデータとその分析」に基づいたビジョンの策定が必要です。日本経済が海外市場で対等に渡り合っていくためにも、DXの推進、そして情報システムなどIT分野に強い人材が必須とされています。
ビジネスアーキテクトは、まさにその条件を満たす人材であり職位でもあります。
ビジネスアーキテクトが必要とされる理由
現代のビジネス環境は、デジタル技術の進化・グローバル競争の激化・顧客ニーズの多様化などの要因で従来と大きく変化しています。
このような中で、企業が「持続的に成長し続ける」ためには、従来のやり方に固執するのではなく「柔軟かつ迅速に」変化に適応する能力が求められます。
単純に最新のシステムを導入すればDXが完了するわけではありません。DXとは情報システムを用いて持続的に事業を成長させ続けるしくみをつくり、時代に合った新しいアイデアを創出して企業を成長させるものです。ソフトだけでも、ハードだけでもなく、さまざまな部門や人材が連携して企業の成長を考えていかなければなりません。
ビジネスアーキテクトは、全体最適の視点から企業のあるべき姿を描き、それを実現するためのロードマップを策定することで、DXの失敗リスクを低減し、企業価値の向上に貢献するため、その必要性はますます高まっています。
ビジネスアーキテクトが不在の場合、例えば営業部門とIT部門の間で認識のズレが生じたり、部分的なシステム導入に終わったりと、DXが形骸化するリスクが高まるでしょう。
デジタルスキル標準とビジネスアーキテクトの役割(ロール)
ここではビジネスアーキテクトのスキルを明確化する「デジタルスキル標準」と、それに基づくビジネスアーキテクトの役割について解説します。
デジタルスキル標準とは
デジタルスキル標準とは、経済産業省とIPAが策定した、企業・組織がDXを推進するために必要な人材のスキルと役割を定義したガイドラインです。
デジタルスキル標準が策定された背景として、多くの日本企業が2025年現在においてもDX推進に苦戦している事実と、それがDXを推進できる人材の不足に起因していることがあります。
デジタル技術が進化する中で、そして変化し続ける世界市場において日本企業が生き残るには、ビジネスを常に変革していく必要があります。そのためには、社員一人ひとりがデジタル技術の在り方、活用方法を理解すること、実際にDXを推進する専門家が必要です。

しかし、DXを推進する上で、全てのビジネスパーソンが備えるべき「デジタルリテラシー」と、DXを専門的に推進する人材に求められるスキル(DX推進スキル)が過去には明確でなく、企業内での人材育成や確保が困難であるという課題がありました。ここから、デジタルスキル標準が策定されました。
デジタルスキル標準は、企業が自社のDX人材の育成計画を策定したり、採用基準を明確化したり、従業員一人ひとりが自身のデジタルスキルを向上させるための学習指針として活用されています。また、近年では生成AIの急速な普及を踏まえ、関連する項目が拡充されるなど、時代に合わせて内容が更新されています。
デジタルスキル標準の構成
デジタルスキル標準は、大きく分けて2つの要素で構成されています。
DXリテラシー標準
全てのビジネスパーソンが身につけるべき、デジタルに関する基本的な知識、スキル、考え方を示すものです。DXの背景や重要性を理解し、デジタル技術を仕事でどう活用するか、変化にどう対応するかといった、共通の土台となる力を養うための指針です。

(出典)DXリテラシー標準(DSS-L)概要>図2 デジタルスキル標準の改訂 概要(2023年8月)
具体的には、「Why(DXの背景)」、「What(DXで活用されるデータ・技術)」、「How(データ・技術の利活用)」、そして「マインド・スタンス」という4つの観点から、DXの重要性やデジタル技術の基本的な仕組み、活用方法、そして変化に対応するための意識や姿勢が示されています。
近年は生成AIをはじめとする新しい技術が急速に普及し、社会全体に波及しビジネス変革や生産性向上にも大きな影響を与えるようになったこと、その進化と普及のスピードに活用する我々のリテラシーや法整備が追い付いておらず情報の真偽を判断するのが難しくなっていることから、2023年に生成AIに関する内容を追加、改訂されました。
よりいっそうDXリテラシーを身につけることが、ビジネスパーソン全体に求められています。
DX推進スキル標準
社内でDXを専門的に推進する中心となる人材(例えば、ビジネスアーキテクト、データサイエンティストなど)に求められる具体的な役割(ロール)とスキルを定義しています。また、企業がDX戦略を具体的に実行するために、どんな専門性を持った人材が必要かを明確にしています。
具体的には、DX推進に必要な人材を「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」といった人材類型に分類し、それぞれの役割で求められる具体的なスキルや知識が体系的に整理されています。
ビジネスアーキテクトの役割(ロール)

ビジネスアーキテクトに期待される役割
ビジネスアーキテクトには、主に2つの重要な役割が期待されています。
デジタルを活用したビジネスを設計し、実現まで導く責任者
デジタル技術を使って新しいビジネスモデルを考え、それが実現するまでを一貫して進める責任者としての役割です。事業の計画から、業務のやり方の整備、使う技術やツールの選定、アイデアがうまくいくかの検証、そして導入後の成果測定まで、全てを統括します。
さらに、データの使い方や最新技術の調査、ビジネスとITがきちんと連携するシステムの設計、セキュリティ対策の検討など、技術的な側面にも深く関わります。必要であれば、それぞれの専門家と協力しながら、これらの業務を進めていきます。
関係者や部署間の連携をスムーズにするコーディネーター
DXを進めるには、たくさんの人や部署が関わります。ビジネスアーキテクトは、その関係者全員が自分の役割で力を発揮できるよう、うまく調整し、協力し合う関係を築くリーダー兼コーディネーターとしての役割もあります。
例えば、必要な人材や資源を集めてプロジェクトごとにチームを作ったり、意見の食い違いを解決して合意を形成したりします。DXプロジェクトがスムーズに進み、目標達成に向けて全員が協力できる環境を整えることが求められます。
DX推進のためにビジネスアーキテクトに求められるスキル
ここでは、DX推進の主要な領域である「新規事業の開発」「既存事業の高度化」「社内業務の高度化・効率化」の3つの観点から、ビジネスアーキテクトに求められる具体的なスキル項目を解説します。
人材類型 | ロール | DX推進において担う責任 |
---|---|---|
ビジネスアーキテクト | ビジネスアーキテクト(新規事業開発) | 新しい事業、製品・サービスの目的を見出し、新しく定義した目的の実現方法を策定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する |
ビジネスアーキテクト(既存事業の高度化) | 既存の事業、製品・サービスの目的を見直し、再定義した目的の実現方法を策定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する | |
ビジネスアーキテクト(社内業務の高度化・効率化) | 社内業務の課題解決の目的を定義し、その目的の実現方法を策定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する |
(出典)デジタルスキル標準ver.1.2>第2章 DX推進スキル標準の構成>ロール一覧(p.72 表の一部を抜粋)
「新規事業開発」に必要なスキル項目
新規事業開発は、市場の変化を捉え、新たな価値を創造する、いわばDXの中核をなす活動です。ビジネスアーキテクトは新しい事業や製品・サービスの目的を明確にし、その達成戦略を立てます。その上で、関係者全員が協力し合えるよう調整役となり、設定した目的の実現に向けてプロセス全体を推進していきます。

(出典)デジタルスキル標準ver.1.2>第Ⅲ部 第3章 人材類型・ロールa.ビジネスアーキテクト>ビジネスアーキテクトのロール|担う責任・主な業務・スキル(1/3)(p.99)
(参考)ビジネスアーキテクト (新規事業開発)
「既存事業の高度化」に必要なスキル項目
既存の事業や製品・サービスについて、デジタル技術を活用して、既存の製品・サービスの競争力を高めたり、新たな付加価値を生み出したりする取り組みです。
目指す目標を明確にし、新たな目標を達成するための具体的な方法を計画して関係部署や担当者間の協力を促しながら、一貫してその計画を実行することで目標達成までをリードします。

(出典)デジタルスキル標準ver.1.2>第Ⅲ部 第3章 人材類型・ロールa.ビジネスアーキテクト>ビジネスアーキテクトのロール|担う責任・主な業務・スキル(2/3)(p.100)
(参考)ビジネスアーキテクト (既存事業の高度化)
「社内業務の高度化・効率化のスキル項目
「社内業務の高度化・効率化」は、社内業務の問題や改善点を明確にし、解決策を考え、関係部署と協力体制を作りながら計画を実行し遂行します。業務の課題、主にバックオフィスなどの業務をデジタル技術で最適化し、生産性向上を図る取り組みです。

例えば、RPAなどを用いて定型業務を自動化するうえで、どの業務に適用すれば最も効果的かを判断します。同様に、「クラウドサービスの活用知識と、自社の業務効率化のためにどのように導入し、連携させるか」「社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にするためのツール(グループウェア、チャットツール、プロジェクト管理ツールなど)を選定し、導入・定着をどのように推進するか」などもこの役割の範囲といえます。
また業務効率化を進める上で、情報セキュリティの重要性を理解し、適切な対策を講じられる知識も必要です。特に個人情報や機密情報を扱う場合は、その重要性が増します。
新しいITツールや業務プロセスを導入するにあたっては、従業員が導入に前向きでなかったり、うまく馴染めないケースもあります。その場合は、変化の必要性を伝え、新しいやり方への適応を促すことが非常に重要なミッションとなります。
(出典)デジタルスキル標準ver.1.2>第Ⅲ部 第3章 人材類型・ロールa.ビジネスアーキテクト>ビジネスアーキテクトのロール|担う責任・主な業務・スキル(3/3)(p.101)
(参考)ビジネスアーキテクト (社内業務の高度化・効率化)
ビジネスアーキテクトが各スキル項目を習得するのに有用な資格
ビジネスアーキテクトとして活躍するために、資格取得は体系的な学習を促し、知識の定着を図る上で非常に有用な手段となります。ここでは、先に挙げた「新規事業の開発」「既存事業の高度化」「社内業務の高度化・効率化」の各スキル項目に関連する、ビジネスアーキテクトに有用な資格を紹介します。
新規事業の開発に必要なスキル項目に関連する資格
新規事業開発は、市場の変化を捉え、新たな価値を創造するクリエイティブな領域です。
(1)特に有用
(2)有用(注)システム監査は、DX推進スキル標準(DSS-P)における全ての領域が対象であり、システム監査の業務に従事するために必要な知識・スキルを習得するにあたってはシステム監査技術者試験が有用です。
既存事業の高度化に必要なスキル項目に関連する資格
既存事業の高度化は、データ活用やデジタルマーケティングを通じて、現行ビジネスの価値を最大化する領域です。
(1)特に有用
(2)有用(注)システム監査は、DX推進スキル標準(DSS-P)における全ての領域が対象であり、システム監査の業務に従事するために必要な知識・スキルを習得するにあたってはシステム監査技術者試験が有用です。
社内業務の高度化・効率化のスキル項目に関連する資格
社内業務の高度化・効率化は、テクノロジーを活用して組織全体の生産性を向上させる領域です。
(1)特に有用
(2)有用(注)システム監査は、DX推進スキル標準(DSS-P)における全ての領域が対象であり、システム監査の業務に従事するために必要な知識・スキルを習得するにあたってはシステム監査技術者試験が有用です。
ビジネスアーキテクトとプロダクトマネージャーとの違い
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、ビジネスアーキテクトとプロダクトマネージャーはどちらも重要な役割を担います。両者は異なる視点と専門性で企業のDXを多角的に推進していく立場といえます。
IPAではこの両者に関する座談会動画を公開しており、両者の共通性と異なる点について議論しています。
従来、日本ではプロダクトマネージャーは単独のプロダクトを担う立場と認識されていることが多いですが、海外ではどちらも同じ、全社的なプロジェクトの成功のためのミッションを担う職務・立場であり、「ミニCEO」と呼ばれることもあります。
座談会の中ではプロダクトマネージャーはビジネスアーキテクトと2点において共通性があるとしています。
- 関係者をリードしながら、ビジネスや業務変換区の目的実現に向けた各プロセスを一気通貫して推進する
- 単独のプロダクトだけでなく複数のプロダクトを組み合わせて、目的実現に向けた取組みを推進する
(出典)プロダクトマネージャー公開座談会「DXとプロダクトマネージャー、その未来ーデジタルスキル標準への反映を踏まえてー」
両者は「テクノロジーをどう変革に使うか」という点を担う人材であり共通しているとしています。ただし企業によって、担い方が違うところもあるのではないかとも述べています。
現在はどうしてもビジネスアーキテクトという職種が日本では確立しておらず、今後はそのポジションを(プロダクトマネージャーも同様)、簡単な仕事ではないため、しっかりしたものとして定着させていく必要があります。
以下は、一般的に日本企業で考えられている両者の違いです。今後の変化に注目されるポイントです。
・ビジネスアーキテクト
企業の経営ビジョンに基づき、あるべきビジネスモデル、業務プロセス、そしてそれを支える情報システム全体の「設計図」を描く役割を担い、長期的な視点で、企業が将来的にどのような姿になりたいのか、そのためにどのような戦略が必要かを構想、実行する。
・プロダクトマネージャー
「特定の」プロダクト(製品・サービス)の成功に責任を持つ立場の人に与えられる職務のことが多い。顧客のニーズを深く理解し、市場の変化に対応しながら、そのプロダクトが顧客にどのような価値を提供し、どのように収益を上げるかを定義する。プロダクトライフサイクル全体を管理し、エンジニアやデザイナーなど開発チームと密接に連携してディレクションする。
つまり、日本企業においては、プロダクトマネージャーは、ビジネスアーキテクトが描いた企業全体のビジョンの中で、自身のプロダクトが果たすべき役割を具体化し、市場での競争力を高めることに注力する役割としているところが多いと考えられます。
(参考)コラム:ビジネスアーキテクトとプロダクトマネージャーについて
ビジネスアーキテクトに期待されること
ビジネスアーキテクトは、単に企業のDXを技術面から支えるだけでなく、その変革の過程で様々な重要な役割を果たすことが期待されています。具体的な「期待されること」は以下のようになります。
デジタルを活用したビジネスモデルの創出と先導
ビジネスアーキテクトに最も期待される役割の一つは、デジタル技術を駆使して新たなビジネスモデルを創出し、その実現を先導することです。既存の事業を単にデジタル化する以上の意味を持ちます。
例えば、AIによるパーソナライズされた顧客体験の提供など、デジタルがなければ生まれ得なかった価値提案や収益源を生み出す能力が求められます。
協働関係など関係者・部署の調整
DXは、特定の部署だけで完結するものではありません。ビジネス部門、IT部門、法務、財務、さらには外部パートナーに至るまで、多岐にわたる部署や関係者が関与します。このような状況で、ビジネスアーキテクトは複雑な利害関係を調整し、協働関係を構築する中心的な役割を担います。
社内におけるデジタル人材の育成・教育体制構築
企業のDXを真に成功させるには、一部の専門家だけでなく、従業員全体のデジタルリテラシー向上と、DXを推進できる専門人材の育成が不可欠です。ビジネスアーキテクトは、この人材育成と教育体制の構築においても中心的な役割を果たすことが期待されます。

ビジネスアーキテクトを社内育成するポイント
ビジネスアーキテクトは、外部から招聘するだけでなく、社内で育成していくことが今後の企業には求められます。既存の人材を育成することで、自社のビジネス特性や文化を深く理解したビジネスアーキテクトを育成できるでしょう。ここでは、社内でビジネスアーキテクトを育成するための主要なポイントを解説します。
「DX推進スキル標準」に基づく共通スキルリストの活用
経済産業省とIPAが策定した「DX推進スキル標準」は、育成すべきスキルが可視化されているため、非常に有用なツールとなります。
現場・実践を通じた学習機会の提供
最も重要な学習の場は、実際のDXプロジェクトや現場での実践です。理論や知識を実際のビジネス課題に適用し、試行錯誤を通じて問題解決能力を養う機会を提供することが不可欠です。
具体的には、OJT(On-the-Job Training)の強化、小規模なDXプロジェクトへの参加、ビジネス部門とIT部門の橋渡し役を経験させる、などがあります。
上記で紹介した座談会でも言及されているところによると、営業出身のビジネスアーキテクトとIT部門出身のビジネスアーキテクトでは、全体を見るときの視点がやはり少し異なる傾向があるそうです。そのため異業種の人材同士の交流は常に意義があると考えられます。
リスキリングプログラムの導入
DXの加速に伴い、既存の従業員が新たなスキルを習得し、役割を変化させる「リスキリング」は喫緊の課題です。
リスキリングプログラムでは、単に新しいツールや技術の使い方を教えるだけでなく、ビジネスモデルの変革や戦略立案といった、より上位の概念に関する学習機会を提供することが重要です。
求められるスキルの可視化と評価システム
ビジネスアーキテクトとしてどのようなスキルが求められ、自身が現在どのレベルにあるのかを明確にすることは、従業員の学習意欲を高め、育成プログラムの効果を最大化するために不可欠といえるでしょう。そのため、スキルが可視化できる仕組みづくりが重要です。
- スキルマップの作成
- 定期的なスキルレベルの確認と認定
- 企業の実態に合った育成計画の策定
- キャリアパスの明示
ビジネスアーキテクトとしての必要なスキルだけでなく、将来的なキャリア展望を明確に提示することで、従業員のモチベーション向上に繋げることができます。
まとめ
ビジネスアーキテクトは、DX推進においてビジネスの目的を明確にし、関係者を調整しながら変革をリードする役割を担います。戦略構築力や調整力、実行力が求められ、企業の競争力強化に不可欠な存在です。
企業でビジネスアーキテクトを育成するには、戦略思考や全体設計力を養う教育機会の提供が不可欠です。現場経験と経営視点を結びつけるOJTや、部門横断のプロジェクト参画を通じて、実践的なスキルを高める環境づくりが求められます。
サービス紹介
スキルアップAIでは、DX推進に向けた支援サービスや、法人研修プログラムを多数ご用意しています。
今回ご紹介したデータ分析コンペだけではなく、社内のDXを進めるために必要なコミュニティ構築に関しても支援をすることが出来ます。
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