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【セミナーレポート】1%の精度向上より、明日の実用化! 完璧主義PoCの泥沼を抜け、現場で愛されるAIを作る「ハイブリッド」の戦略とは

多くの企業がAI活用に向けた取り組みを加速させています。しかし一方で、「PoC(概念実証)までは進んだが、実用化に至らない」「多額のコストをかけたが現場で定着しなかった」といった失敗事例も後を絶ちません。
本記事では、2025年7月16日に開催されたセミナー『AI開発の成功と失敗から学ぶ実践戦略 内製・外注の判断軸とパートナー選定のポイントとは?』の模様をレポートします。
本セミナーは二部構成で行われました。
前半は、数々のAIプロジェクトを成功に導いてきた株式会社KICONIA WORKS 代表取締役の書上 拓郎氏による基調講演。
後半は、株式会社スキルアップNeXt コンサルタントの佐藤 裕をモデレーターに迎えたクロストークを展開しました。
本レポートでは、それぞれのセッションから、AI開発を成功させるための重要なエッセンスを抜粋してお届けします。
登壇者:

株式会社KICONIA WORKS
代表取締役
書上 拓郎 氏
慶應義塾大学商学部卒業後、株式会社オリエンタルランドに入社し、商品開発などのマーチャンダイズやイベント企画を経験後、コンサルティングファームへ転職しコスト削減プロジェクトに従事し、その後決済ベンチャーや海外のカジノビジネス企業を経験。
帰国後、株式会社エス・エム・エスで経営企画を担当し、2015年より株式会社ABEJAに参画し、機械学習を用いた事業開発や受託開発の責任者、営業責任者を担当し、2018年に少数精鋭のチームを作り株式会社KICONIA WORKSを創業。機械学習や数理最適化など年間30〜40件のコンサルティングや開発プロジェクトマネジメントを担当。

株式会社スキルアップNeXt
DX組織開発ユニット コンサルティング2グループ マネージャー
佐藤裕
総合人材会社にて新卒採用・営業・マーケティングに従事した後、スキルアップNeXtに参画 。 シリーズ累計受講者数31万人、導入社数1,000社を超える同社の実績を背景に、単なるツール導入に留まらない「組織を変えるAI/DX人材育成」のノウハウを発信している。現在は、企業のデジタル化を加速させる実践的なアプローチ手法の啓蒙に注力。
【講演】なぜAIプロジェクトは頓挫するのか?代表的な3つの失敗パターン
ー 第1部の基調講演では、年間約50件のAI開発・DX支援を手掛ける書上氏が、「AI開発が失敗する典型的な理由」として以下の3つを挙げ、その回避策について語りました。
- とりあえずAI開発
- 終わらないPoC
- 実運用との差
特に多くの企業が陥りがちなのが、目的が曖昧なままスタートする「とりあえずAI」の罠です。書上氏は次のように警鐘を鳴らします。
書上氏:
よく見受けられるのが、経営層や上長から「生成AIですごいことをやってくれ」や「DXを推進してくれ」といった指示を受け、とりあえず走り出してしまうケースです。
ベンダーに「何か提案してほしい」と丸投げしたり、流行りの技術だからと飛びついたりしてしまう。
こうなると、現場は全く必要性を感じていないため協力が得られず、データも集まりません。結果として「作ったけれど誰も使わない」という残念な事態になりがちです。
ー また、PoC(概念実証)のフェーズでも、ゴール設定のミスによりプロジェクトが迷走することが多いといいます。
書上氏:
AIの精度評価で、例えば「0.7」が出たとします。すると次は「0.75を目指そう」「次は0.9だ」と、数字を上げること自体が目的になってしまうのです。
しかし、そもそも「人間が行った場合の精度」は本当に100%なのでしょうか? 実際は人間でも70〜95%程度であることが多いのです。
「人間にもミスはある」という前提がないと、AIに過剰な100%の精度を求めてしまい、いつまで経ってもPoCが終わらず実用フェーズに進めません。
ー また、PoCと実用化の間に横たわる「3つのギャップ」について、書上氏は次のように警鐘を鳴らしました。
書上氏:
検証環境と実運用環境の乖離には、特に注意すべき「処理速度」「開発コスト」「関係者」の3点があります。
1つ目は「処理速度」です。精度を追求するあまり処理が重くなり、人間より時間がかかっては実用できません。結局、高速化のために作り直しが発生します。
2つ目は「開発コスト」です。PoCは安価でも、実用化にはシステム連携等で数千万円かかることもあります。全体コストを見越さないと、費用対効果が合わず頓挫します。
3つ目は「関係者」の巻き込みです。推進部だけで進めず、実際に使う現場の方々をPoC段階から巻き込むことが、定着の鍵となります。AIの性能を1%上げるために膨大なコストをかけるより、今の精度のままで業務フローを少し変えるだけで、十分に実用化できるケースは多々あります。完璧を求めすぎてプロジェクト自体が頓挫してしまうのは、非常にもったいないことです。

ここが成功の分かれ道
ー では、具体的にどのようなKPI(重要業績評価指標)を設定すれば、PoCの泥沼化を防げるのでしょうか? また、開発環境と本番環境のギャップ(実運用の差)をどう乗り越えるべきなのでしょうか?
正解企業が持つ判断軸や、失敗の事例から学ぶべきことについては、ぜひアーカイブ動画をご覧ください。
PoCの泥沼化を防ぐ「KPI設計・コスト試算」の正解を動画で見る(無料)
ー 続いて書上氏は、多くの企業が頭を悩ませる「内製化すべきか、外注すべきか」という課題に対し、どちらか一方を選ぶのではなく、両者のメリットを取り入れた「ハイブリッド型」を提唱しました。
書上氏:
多くの企業様が「ゆくゆくは内製化したい」とお考えですが、AI人材の採用難易度は極めて高く、育成にも時間がかかります。すべてを自社で賄おうとすると、どうしてもスピード感が損なわれてしまうのが現状です。
AI技術、特に昨今の生成AIの進化は非常に速いですから、人材育成を待っていては競合他社に後れを取ってしまいます。
そこでお勧めしたいのが、「立ち上げは外注、運用は内製」というハイブリッドな進め方です。
- 初期フェーズ(外注): モデル構築やPoCは、専門知識を持つパートナーに依頼して短期間で成果を出す。
- 運用フェーズ(内製): 実用化後の運用やメンテナンス(再学習など)は、社内メンバーで行う。
書上氏:
運用までずっと外注し続けるとコストが嵩みますし、ノウハウが社内に残りません。
構築の段階で、そのAIがどう動いているのかをしっかり理解し(スキルトランスファー)、運用は自社で巻き取っていく。これが最も合理的です。
この「ハイブリッド型」のアプローチは、スキルアップNeXtが提供する「共創・自走支援型AI開発サービス」のコンセプトとも一致します。単なる開発代行ではなく、プロジェクトを通じてお客様の組織にスキルを移転し、「自走できる組織」を作ることをゴールとしています。

【クロストーク】ブラックボックス化を防ぐパートナー選定のポイント
ー ここからは、スキルアップNeXtの佐藤が登壇し、書上氏とのクロストークを行いました。テーマは「失敗しないパートナー選定」。発注側の視点も交えながら、信頼できるベンダーの見極め方について議論が交わされました。
佐藤:
ここからは私も加わって深掘りしていきたいと思います。
展示会に行くと多くのAIベンダーがいますが、どの会社も自社のメリットばかりを強調していますよね。発注側として、信頼できる会社かどうかを見極めるために、どのような質問を投げかければよいのでしょうか?
書上氏:
私が考える「信頼できるベンダー」の条件は2つあります。
一つは、「できないことはできない」とはっきり伝えてくれること。 もう一つは、「ブラックボックスになる開発をしないこと」です。
佐藤:
「できない」と言ってくれる誠実さは重要ですね。安請け合いして後からトラブルになるケースも散見されます。
もう一つの「ブラックボックスにしない」というのは、具体的にどういうことでしょうか?
書上氏:
「データを入れたら結果が出ます。中身は企業秘密です」というAIだと、何かトラブルがあった時や精度が落ちた時に、お客様自身では対応できなくなってしまいます。
そうならないために、「中身のロジックはどうなっているのか説明してくれるか」「成果物(モデルやコード)は納品してくれるか」を確認すべきです。
中には、納品せずに「利用ライセンス」として月額費用を請求し続けるベンダーもいますから、契約前の確認が必須ですね。
佐藤:
なるほど。ベンダーロックインを避けるためにも、成果物の権利関係やロジックの開示については初期段階で握っておく必要がありますね。
また、「技術の押し売り」をしないかどうかも重要だと感じます。お客様の課題を聞いて、「それならばAIを使わずとも、RPAや業務改善で解決可能です」と提案してくれるベンダーは信頼できるのではないでしょうか。
ー セミナーではこの後、さらに踏み込んだ「契約書でチェックすべき具体的な項目」や、参加者から寄せられた「データが少ない場合の戦い方」「AI人材の評価制度」といったリアルな質問への回答が行われました。
質問例
- AI開発において、効果的なKPI(重要業績評価指標)はどう設定すべきか?
- ベンダーに必ず確認すべき「たった1つの質問」とは?
- AI開発における「著作権」と「成果物」の落とし穴
- 会場からのQ&A:上層部を説得するための「費用対効果」の出し方
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