最終更新日:
【2025年最新】PowerPlatformとは?できることや活用例を具体的に解説

大企業を中心にChatGPTやMicrosoft Copilotの導入が進む中、「Power Platform」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「名前は聞いたことあるけど、どういうツールなのかわからない」
「具体的にどんなことができるのか分からない」
「少し触ったことがあるけど、使い方がよくわからない」etc.
そこで本記事では、Microsoftが提供する「Power Platform」について、分かりやすく解説します。既に導入はしているけど、ユースケースが分からない方や、これからの使用をご検討されてる方など、ぜひご覧ください。
Power Platformとは?
Power Platformは、Microsoftが提供するローコード開発プラットフォームで、専門的なプログラミングスキルがなくても、以下のことが実現できるツールです。
- 業務アプリケーションの開発
- 業務プロセスの自動化
- データ分析
- チャットボットの構築
- Webサイトの作成 etc.
近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や、IT人材不足への対応策として、ローコード・ノーコード開発が注目されています。Power Platformは、Microsoft 365やDynamics 365との高い親和性を持ち、既存の業務環境とシームレスに連携できるため、多くの企業で導入が進んでいます。
Power Platformの5つのアプリケーション
- Power Apps
- Power Automate
- Power BI
- Power Virtual Agents
- Power Pages
Power Platformでできること
アプリケーション | 主な用途 |
---|---|
Power Apps | 業務アプリの開発・共有 |
Power Automate | 業務プロセスの自動化 |
Power BI | データの可視化と分析 |
Power Virtual Agents | チャットボットの作成 |
Power Pages | Webサイトの構築・管理 |
Power Apps
Power Appsは、コーディングの知識不要でアプリケーションを迅速に開発・共有できるツールです。具体的には、アプリケーションのUI(ユーザーが操作する画面や表示内容)構築から、ボタンクリック時の画面遷移、特定の処理の実行をコーディングすることができます。
また、Power Apps上で、Microsoft 365やSharePoint、SQL Serverなどのデータソースに保存されているデータにアクセスでき、入力フォームやカレンダーなどの機能を持つアプリが作成可能です。
Power BI
Power BI:データの可視化で意思決定を支援
Power BIは、蓄積された業務データをグラフやチャートで視覚化し、意思決定に活かすためのツールです。活用シーンは多岐にわたります。
たとえば、小売業では店舗ごとの売上や来客数をダッシュボードに集約し、販売戦略の立案に役立てるケースがあります。売上が急落している店舗をすぐに把握し、現場へのフィードバックを迅速に行うことが可能です。
また、人事部門では従業員アンケートの結果をPower BIで可視化することで、部門ごとの満足度や課題の傾向を分析し、組織改善のヒントを得るといった使い方も見られます。
さらに、経営層向けのレポート作成を自動化し、リアルタイムで数字を把握できるようにすることで、意思決定のスピードと精度を高める効果も期待できます。
このような用途は一見するとExcelでも実現できそうに思えますが、Power BIは大量のデータを高速かつ安定的に処理できる点が大きな違いです。また、データの更新を自動化できるため、都度ファイルを開いて集計・加工する手間が不要になります。
さらに、複数のデータソース(Excel、CSV、クラウドサービス、SQLなど)を統合し、一つの画面で動的に可視化できる点も、Power BIならではの強みです。Excelで似たようなことをしようとすると、手作業が多くなり、ミスや集計漏れのリスクが高まります。
実践でデータ活用のイメージを具体化
スキルアップAIでは、Power BIを用いた可視化・分析の進め方を体系的に学べる【問題解決のためのデータ分析実践講座(PowerBI編)【法人対象】】をご提供しています。実際の業務を想定した演習を通じて、「業務で本当に使えるPower BI活用スキル」を身につけることができます。
👉 講座の詳細はこちら
問題・課題を定義し、データ分析力で解決する方法を学ぶ
より基礎からデータ分析の考え方を学びたい方には、【問題解決のためのデータ分析基礎講座【法人対象】】もおすすめです。ビジネス課題の設定から、分析設計・読み解きの手順まで、汎用的な分析力を養う構成です。
👉 講座の詳細はこちら
Power Automate
Power Automateは業務の自動化を支援するRPAツールです。RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、パソコン上で行う事務作業を自動化するソフトウェアロボットのことを指します。
Power Automateは、パソコン業務における繰り返し作業や、ある程度の型が決まっているパソコン操作を自動化することができ、作業時間の短縮やミスの削減に貢献します。
Power Virtual Agents(現在は、Copilot Studio)
Power Virtual Agentsは、ノーコードでチャットボットを作成できるツールで、現在はCopilot Studioに名称が変更されました。
チャットボットとは、ユーザーからのテキストや音声入力に対し、自動で返答しながら会話を行うプログラムを指し、Web サイトでの問い合わせ対応などで活用が進んでいます。なお、Copilot Studio の利用には Power Platform のライセンスとは別に、追加のライセンス契約が必要です。
従来のチャットボットは、あらかじめ設定したシナリオやルールに従って応答する形式が主流で、柔軟なカスタマイズには高度な設定が求められていました。しかし、生成 AI の導入により、ボットの構築や調整がより直感的かつ簡単になり、ユーザーの文脈に応じたパーソナライズされた応答が可能となりました。
その結果、より自然で洗練されたコミュニケーションが実現し、顧客体験の向上にも大きく寄与しています。
Power Pages
Power Pagesは、ローコードでWebサイトの設計から公開までを一気通貫で作成できるWebサイト構築ツールです。デザインテンプレートやウィザード形式の操作画面が用意されており、専門的なコーディングスキルがなくてもWebサイトを構築できます。
また、Power Platformの他のツールとの連携も可能で、たとえばCopilot Studio(旧Power Virtual Agents)で作成したAIチャットボットをPower Pages上に組み込むといった活用方法もあります。これにより、Webサイトに対話型の問い合わせ対応機能を簡単に追加できます。
さらに、Microsoft 365で管理されているデータベースと連携することで、社内外のユーザー向けにデータドリブンなWebサイトを構築・運用することも可能です。業務アプリケーションの一部として利用したり、顧客向けポータルサイトを構築したりする用途にも適しています。
Power Platformの具体的な活用例
Power Apps:現場主導で業務アプリを構築(紙の書類からの脱却)
Power Appsを使えば、専門的な開発スキルがなくても、自部門の業務に合ったアプリを作成することにより、紙で行っていた作業の一部をデジタル化することができます。
たとえば、倉庫管理や営業日報の提出といった日々の業務に対して、スマートフォンから操作できるアプリを作成し、紙やExcelに頼っていた業務を効率化するケースがあります。これにより、情報共有のスピードが上がり、入力ミスや記録漏れといった人的ミスの削減にもつながります。
このように、紙などのアナログの情報をデジタルへ変換することを、「デジタイゼーション」といいます。具体的なデジタル化の第一歩をお考えの方は、Power Appsを活用することがおすすめです。
Power Automate:定型業務を自動化し、工数を削減
Power Automateは、複数のツールやサービスをまたいだ定型作業を自動で処理するワークフローを構築できるツールです。
たとえば、経費申請に関する通知の送信、承認フローの自動進行、支払い処理の進捗共有など、これまでメールや手作業で行っていた一連の業務を自動化することで、処理完了までの時間を短縮し、担当者の工数を大幅に削減できます。また、人事部門では、入社手続きやアカウント発行依頼、各種案内の送付など、繰り返し発生する業務に対して活用されることもあります。
このように、既存の業務プロセスをデジタル技術によって再設計し、業務効率の向上やコスト削減といったビジネス上の価値を生み出す取り組みは、「デジタライゼーション(Digitalization)」と呼ばれます。Power Automateのような業務自動化ツールは、DX推進においても中心的な役割を担います。
Power Automateを現場で活かすには、実践的な習得が鍵です。
スキルアップAIでは、現場の自動化ニーズに即した【Power Automate for Desktopを活用したRPA実践講座【法人対象】】を提供しています。操作方法だけでなく、自社業務への活用を見据えた設計力も身につきます。
Copilot Studio:チャットボットによる工数削減
Copilot Studioを使えば、ユーザーからの問い合わせに自動応答するチャットボットを、ノーコードで構築できます。 たとえば、よくある質問(FAQ)への自動応答を設定することで、Webサイト上の問い合わせ対応の工数を削減したり、社内ヘルプデスクとして機器トラブルやシステム利用に関する問い合わせを自動処理したりといった活用が想定されます。生成AIの導入により、ユーザーの入力内容を柔軟に理解して応答することも可能です。
他のツール・従来手法との違い
kintoneやAppSheetとの違い
Power Platformと類似するローコード・ノーコード開発ツールとして、以下が挙げられます。
-
kintone
シンプルな業務アプリの開発に適しており、日本語サポートが充実しています。 -
AppSheet
Google連携が強みで、データ駆動型のアプリ開発が可能です。
Power Platformは、Microsoft 365との親和性に優れ、OutlookやTeams、Excelとの連携がスムーズです。セキュリティや管理機能もエンタープライズレベルで提供される点が特徴です。
従来の開発手法との違い
従来のアプリ開発では、専門的なプログラミング知識が必要で、開発期間も長期化しがちでした。一方、Power Platformを活用することで、非エンジニアでも短期間でアプリケーションを開発でき、業務の迅速な改善が可能となります。
Power PlatformとCopilotの連携
Power Platformは、Microsoftが提供するCopilot製品と連携することで、業務アプリケーションの開発や業務プロセスの自動化をさらに効率化できます。以下に、各アプリケーションとの連携や違いについて解説します。
Power AppsとCopilotの連携
Power Appsでは、Copilotを活用することで、自然言語によるアプリケーションの作成が可能です。例えば、「従業員が経費を申請できるアプリを作成したい」と入力するだけで、必要なデータテーブルや画面が自動生成されます。また、Copilotはアプリの分析や改善提案も行い、開発者の負担を軽減します。
Power AutomateとCopilotの連携
Power Automateでは、Copilotを利用して、ワークフローの作成や自動化が容易になります。例えば、「顧客が申込フォームを送信したら、自動返信でthanks歓迎メールを送信するフローを作成して」と指示するだけで、必要なフローが自動的に構築されます。これにより、業務プロセスの自動化が迅速に実現できます。
Copilot Studioの活用
Copilot Studioは、独自のAIエージェントを作成・管理できるプラットフォームです。作成したエージェントは、Microsoft TeamsやSharePoint、Power Pagesなどと連携させることができ、社内外のユーザーとの対話型インターフェースを提供します。これにより、業務の自動化やユーザーサポートの効率化が図れます。
Power PlatformとCopilotの違い
Power Platformは、ローコード開発プラットフォームとして、業務アプリケーションの開発や業務プロセスの自動化、データ分析などを支援します。一方、Copilotは、これらの作業をさらに効率化するためのAIアシスタントであり、自然言語による指示でアプリケーションの作成やフローの構築を支援します。つまり、CopilotはPower Platformの機能を補完し、ユーザーの生産性を向上させる役割を担っています。
これらの連携により、Power Platformの活用がさらに広がり、業務の効率化や自動化が加速します。Copilotの導入を検討することで、より直感的で迅速な業務改善が可能となるでしょう。
導入メリットと注意点
Power Platformを導入することで、以下のようなメリットがあります。
メリット:業務効率化、開発スピードの向上、属人化の排除、内製化の促進
注意点:情報のサイロ化、セキュリティリスク
ローコード開発により、外部委託の必要が減少し、コスト削減が期待できます。また、定型業務の自動化や、データの可視化により、業務プロセスの効率化が実現できるでしょう。リアルタイムなデータ分析により、迅速な意思決定が可能となります。
一方で、各部門が独自にアプリを作成すると、情報の分散や重複が発生する可能性があります。また、外部ユーザーとのデータ共有時には、適切なライセンス管理とセキュリティ設定が必要です。
これらの課題に対応するためには、組織全体でのガバナンス強化や、ユーザー教育が重要です。
利用料金とライセンス
Power Platformは基本的にアプリ単位・ユーザー単位のライセンス体系です。以下が主な価格体系の一例です(2025年現在):
- Power Apps:ユーザーごとの月額課金(約2,500円〜)
- Power Automate:フローごとの課金 or ユーザーライセンス
- Power BI:無料版・Pro版(約1,500円/月)・Premium
※Copilot機能はMicrosoft 365 Copilotライセンスなど別契約が必要な場合もあります。
まとめ
Power Platformは、業務のデジタル化・自動化を実現するための強力なツール群です。Copilotとの連携により、より自然で高度な業務支援も可能となっており、今後のDX推進における中核的存在となることが期待されています。
導入に際しては、自社の業務課題や推進体制に合わせて、段階的に導入・活用していくことが鍵となります。
配信を希望される方はこちら
また、SNSでも様々なコンテンツをお届けしています。興味を持った方は是非チェックしてください♪
公開日: