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RPAとは?メリット・活用事例・種類・導入ポイントまで網羅的に解説

DXを推進する企業が増えている中、これから自社でRPAを活用して、業務効率化を図ろうと検討しているものの、具体的にどんなことができるツールなのか、理解していない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、RPAの定義や、他の自動化手法との違い、活用事例から、すぐ使えるRPAの実例まで、幅広く解説します。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは
ここでは、RPAの定義や、登場の背景について解説します。
RPAの意味
RPA(読み:アールピーエー)とは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、人間が行う定型的なデジタル業務を自動化する技術の1つです。
具体的には、データの入力や転記、ファイルの整理、帳票の作成、メールの送信といった繰り返し発生する作業を、事前に定めた手順に従って自動で実行することができます。これにより、作業時間の短縮や人的ミスの削減が可能となり、業務の効率化と品質向上を同時に実現することができます。
RPA登場の背景
RPAが注目されるようになった背景には、以下のような社会的・経済的要因が挙げられます。
- 働き方改革の推進
- 労働人口の減少
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
- 既存システムの限界と柔軟な業務改善のニーズ
長時間労働の是正や生産性向上が企業に求められる中、定型的な業務を効率化する手段としてRPAが有効とされました。
特に、事務作業の自動化により、従業員がより創造的な業務に時間を割ける環境づくりが期待されています。
少子高齢化により労働力の確保が難しくなる中で、人的リソースに依存せずに業務を回す仕組みとしてのニーズが高まりました。
人材不足が深刻なバックオフィス業務などにおいて、RPAは代替手段として現場を支えています。
業務のデジタル化・自動化を通じた競争力強化が求められる中で、RPAは導入しやすく効果が見えやすい施策として多くの企業に採用されています。
全社的なDXの第一歩として、現場主導でも導入しやすい点が評価されています。
大規模なシステム改修をせずとも導入可能なRPAは、既存業務の効率化を柔軟に進められる手段として注目されました。
既存システムのUIをそのまま活用できるため、業務フローに大きな変更を加えることなく効果を発揮します。
こうした背景のもとで広がりを見せてきたRPAは、今なお多くの企業にとって重要な選択肢となっています。「DXの推進」が声高に叫ばれてから年月が経った2025年においても、定型業務の効率化という課題は根強く、RPAはその現実的な解決策の1つとして再評価されています。
他の自動化手法(従来システム開発/GAS/マクロ)との違い
一方、RPA以外にも業務の自動化を実現する手法はいくつか存在します。ここでは、従来のシステム開発やGAS、マクロと比較しながら、RPAの特長や違いについて整理します。
従来のシステム開発との違い
従来の業務自動化は、基幹システムや専用ツールなどを新たに開発・構築することで実現してきました。これらは、要件定義から設計・開発・テスト・導入といった長期の工程を経る必要があり、コストや時間がかかるうえ、業務フローそのものの見直しが求められることもあります。
一方でRPAは、既存の業務フローやアプリケーションの上に乗せる形で導入できるため、システム改修を行わずに自動化を実現できる点が大きな違いです。比較的短期間・低コストで導入可能なことから、現場主導での活用が進んでいます。
GAS・マクロとの違い
業務の自動化と聞いて、Excelのマクロ(VBA)やGoogle Apps Script(GAS)を思い浮かべる方も多いかもしれません。これらもRPAと同様に、繰り返し発生する作業の効率化に使われる手段です。
ただし、GASやマクロは特定のアプリケーション上(例:Excel、Googleスプレッドシート)でのみ実行可能で、処理範囲が限定的です。たとえば、ファイル内のデータ整形や、表計算ソフトとメールツールの連携など、用途はある程度限られています。また、活用には一定のプログラミング知識が求められます。
一方でRPAは、スプレッドシートやExcelにとどまらず、業務で使われる複数のアプリケーションやWebシステムを横断して自動化処理を行うことが可能です。人間がPC上で行う操作を模倣することができるので、異なるシステム間のデータ転記や複雑な業務フロー全体を自動化することができます。
RPAの主なメリットについて
RPAの導入により、業務の効率化だけでなく、企業全体の生産性や品質向上にもつながる多くのメリットが得られます。ここでは、RPAがもたらす主なメリットについて、紹介します。
業務効率化と生産性向上
RPAは、時間のかかる定型業務を自動化することで、作業時間を大幅に短縮することができます。これにより、従業員は本来の業務に集中できるようになり、全体としての生産性が向上します。また、24時間稼働が可能なため、夜間や休日でも処理が進み、業務スピードの最大化が図れます。
コスト削減
人手による繰り返し業務を自動化することで、人件費や外注費などのコストを削減することが可能です。また、業務ミスによる手戻りや再処理の発生も抑えられるため、間接的なコストの圧縮にも寄与します。
ヒューマンエラー防止
RPAはあらかじめ定義された手順に従って処理を実行するため、作業ミスや記入漏れといったヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。とくに正確性が求められる数値入力や帳票作成などで、品質の安定に大きく貢献します。
他ツールとの連携
RPAは単体での利用だけでなく、さまざまなツールやシステムと連携することで、より高度な業務自動化が実現できます。たとえば、チャットボットやワークフロー管理ツール、AI OCR、クラウドストレージなどと組み合わせることで、入力・判断・通知といった一連の処理を一気通貫で自動化できます。
既存のツールと連携することができるので、単なる作業代替を超えた、業務プロセス全体の効率化やユーザー体験の向上が可能になります。
従業員の付加価値業務へのシフト
定型作業から解放された従業員は、より創造的で戦略的な業務に時間を使えるようになります。たとえば、データ分析や顧客対応、業務改善提案など、付加価値の高い仕事に集中することで、企業全体の競争力強化につながります。
RPAの活用事例
RPAは業種や企業規模を問わず、さまざまな業務に応用されています。ここでは、定型業務における代表的な活用例や、中小企業における導入事例について紹介します。
定型業務の自動化例
RPAが最も効果を発揮するのは、ルール化された繰り返し作業です。たとえば以下のような業務は、導入効果が高いとされています。
- ExcelやCSVのデータを他システムに転記する作業
- 売上・在庫・出荷などの定期レポートの作成
- Webサイトからの情報収集・入力(例:価格調査や企業情報の取得)
- 受発注に伴う請求書の作成やメール送信
- 勤怠や交通費精算など、社内申請に関する入力作業
これらは人手で処理すると時間とミスが発生しやすい業務ですが、RPAを使えば短時間かつ高精度で処理が可能になります。
中小企業でのRPA活用
RPAは大企業だけでなく、中小企業でも導入が進んでいます。特に人手不足が深刻なバックオフィス業務において、少人数体制でも業務を回す仕組みづくりに貢献しています。
たとえば、日次の売上集計や会計ソフトへの仕訳入力、顧客からの問い合わせメールへの自動応答、従業員の勤怠チェックなど、大規模なIT投資をせずとも業務負荷を軽減できる点が、中小企業にとっての導入メリットです。
また、クラウド型のツールや無料で使えるRPA製品の登場により、初期費用を抑えてスモールスタートが可能な点も、導入の後押しとなっています。
Power Automate for Desktop を活用したRPA実践講座【法人対象】
上記でご紹介した自動化の例は、「Power Automate for Desktop」で実現できます。
このツールは、Windowsユーザーであれば無料で利用でき、ExcelやOutlook、EdgeなどMicrosoft製品との高い親和性を持つRPAアプリケーションです。
スキルアップAIでは、RPAを用いた業務効率化の流れを理解したい方向けに、法人向けの「Power Automate for Desktop を活用したRPA実践講座」をご用意しております。
座学とハンズオンを組み合わせたカリキュラムで、現場で活かせる実践的な知識と操作スキルを身につけることが可能です。
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主要RPAツールの種類と選定ポイント
主要なRPAツールの種類
RPAにもそれぞれ種類があり、サーバー型、デスクトップ型、クラウド型と、それぞれに違いがあります。以下の表に、それぞれの動作環境や適用規模、特徴、そして導入難易度について記載しています。
RPAの種類 | 想定規模 | 主な特徴 | 導入難易度 |
---|---|---|---|
デスクトップ型 | 個人や部門単位の小~中規模 |
– 各PCにインストールして利用(PC単位で自動化) – 専用サーバー不要で手軽に導入可能 – 専門知識不要で現場担当者でも扱える – 低コストでスモールスタート可能 |
低い(初心者・小規模向け) |
クラウド型 | 個人から部門、企業全体まで小~大規模 |
– クラウド上で稼働しブラウザ操作を自動化 – インターネット環境があれば利用可能 – 初期費用を抑えやすいサブスク型(数十万円規模) – PCを占有せず並行作業が可能 – アップデート等をベンダー側で管理 |
低~中程度(比較的導入容易だがネット前提) |
サーバー型 | 複数部署にまたがる大規模・全社導入向け |
– 自社サーバー上に構築して集中管理 – 複数PC・システムの横断的な自動化に強い – 高セキュリティで機密データも安心 – 自社要件に合わせたカスタマイズ柔軟 – 初期費用・運用コストとも高額 |
高い(専門知識・大規模環境向け) |
代表的なRPAツール紹介
現在、日本国内では、さまざまなRPAツールがリリースされています。上記でご紹介したように、サーバー型・デスクトップ型・クラウド型などの特性や、プランによって利用できる機能や価格帯も大きく異なります。気になる製品があれば、公式サイトで最新の情報をチェックしてみてください。
ツール名 | URL・お問い合わせ先 |
---|---|
Microsoft Power Automate Desktop | https://apps.microsoft.com/detail/9nftch6j7fhv?hl=ja-JP&gl=JP |
UiPath | https://www.uipath.com/ja |
WinActor | https://winactor.biz/ |
BizRobo! | https://rpa-technologies.com/products/first/ |
Robo-Pat (RPAロボパット) | https://fce-pat.co.jp/ |
RoboTANGO | https://robotango.biz/ |
Autoジョブ名人 | https://www.usknet.com/services/autojob/ |
おじどうさん | https://www.bluetec.co.jp/ojidosan/ |
MinoRobo | https://minorobo.jp/ |
アシロボ | https://assirobo.com/ |
Coopel | https://coopel.ai/ |
ツール選定のポイント
RPAツールは製品によって特長やできることが大きく異なります。まだ比較検討前の段階では、次のような観点から「自社に合うかどうか」を見ていくのがおすすめです。
- 自動化したい業務に対応しているか
- 操作のしやすさ(ノーコード/日本語対応など)
- 料金プランと導入のしやすさ
- サポート体制
- 将来的な拡張性
Excel作業やメール対応などのシンプルな業務か、複数のシステムをまたぐ処理かによって、適したツールは異なります。
まずは「自社でどんな作業を自動化したいか」を棚卸ししてみることが出発点になります。
現場の担当者が使うことを想定する場合、直感的な画面や日本語マニュアルの有無は重要なポイントです。
操作体験のしやすさは、導入後の定着スピードにも大きく影響します。
まずはスモールスタートしたい場合、無料で使えるものや月額数万円から始められるツールが適しています。課金体系(ユーザー単位、ロボット単位など)にも注意が必要です。
導入後に追加費用が発生するケースもあるため、総コストを見積もっておくと安心です。
初期設定やトラブル対応など、導入後のサポートが充実しているかも確認しましょう。国産ツールは日本語サポートが受けやすい傾向にあります。
初心者の場合は、導入初期にどこまで伴走してもらえるかも選定基準になります。
まずは一部の業務から導入し、ゆくゆくは他部署や全社展開も見据える場合、スケーラビリティのあるツールを選んでおくと安心です。
クラウド型や連携機能が充実しているツールは、運用を拡張しやすい傾向にあります。
まずは体験!Power Automate for Desktopで始めるRPA
ここまでご紹介したように、RPAツールにはさまざまな種類があり、機能や料金体系も多岐にわたります。
情報を調べるうちに「結局、自社には何が合うのか」「どこから始めればいいのか」と迷ってしまう方も少なくありません。
そんな方におすすめなのが、スキルアップAIの法人向け講座「Power Automate for Desktop を活用したRPA実践講座」です。
Power Automate for Desktopは、Windowsユーザーであれば無料で使えるため、導入ハードルが低く、RPAの活用を実際に“体感”する入り口として最適です。
本講座では、ただツールの使い方を学ぶだけでなく、「どの業務が自動化に向いているか」「どう効率化を設計すべきか」といった、RPA導入の本質を理解できます。
RPAの導入に迷った今こそ、「使いながら学ぶ」第一歩として、ぜひ本講座をご活用ください。
▶︎ Power Automate for Desktop を活用したRPA実践講座【法人対象】
小さく始めて効果を測定
最初から全社展開を目指すのではなく、まずは1つの部門や業務に絞って、小さく始めるのが成功の近道です。
その理由は、いきなり大規模に導入すると現場の混乱や反発を招きやすく、効果も見えづらくなるためです。たとえば、営業日報の作成や請求書発行といった、ルールが明確で反復的な業務から始めると、成果が見えやすくスムーズに展開できます。
対象業務を明確にし、RPA導入前後で「作業時間がどれだけ短縮されたか」「エラーが減ったか」など、定量的な効果測定を行うことで、社内の理解と説得力ある導入拡大につながります。
現場巻き込みと社内啓蒙
RPAは現場の業務を自動化するツールである以上、現場の理解と協力なしでは定着しません。
これは、業務内容を最も把握しているのが現場であり、RPA化の対象業務や運用上の課題を発見するのも現場の視点が不可欠だからです。たとえば、入力作業を自動化する際に「例外処理が多くて対応できない」など、現場でしか気づけない要素があります。
ツールの導入が「押しつけ」にならないよう、現場担当者と一緒に業務を棚卸しし、課題意識を共有するプロセスが重要です。加えて、「RPAは仕事を奪うものではなく、業務をラクにするための支援ツールである」という認識を、社内全体に広げていく啓蒙活動も必要です。
運用体制とスケーリング
RPAを業務に定着させ、スムーズに拡大していくには、誰が開発・保守を担当するのか、どのように改善サイクルを回すのかといった運用体制の構築が不可欠です。
なぜなら、導入したRPAが属人化してしまうと、担当者の異動や退職時にブラックボックス化し、継続的な運用が困難になるからです。たとえば、ロボットの稼働状況やエラー発生時の対応手順を明文化しておくことで、引き継ぎや他部門展開もスムーズになります。
ツールの使い方だけでなく、ルールの策定・役割分担・ナレッジの蓄積といった「仕組み化」によって、属人化を防ぎつつスケールできる状態を目指しましょう。
まとめ|RPAを正しく理解し、自社に合った活用を進めるために
RPAは、業務効率化や人手不足への対応といった現場の課題に向き合う手段の一つとして、現在も一定の関心を集めています。単なるツールの導入にとどまらず、自社の業務や体制に応じた適切な活用が重要です。
本記事では、RPAの定義や登場の背景から、他手法との違い、具体的な活用事例、主要ツールの比較、導入時のポイントまでを幅広くご紹介しました。
なかでも「Power Automate for Desktop」は、Windows環境であれば無料で始められることから、初めてのRPA導入にも適した選択肢の一つです。
操作の流れや自動化の勘所を体系的に学びたい方は、実際に手を動かしながら身につけられる法人向けの実践講座もご検討ください。
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