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事例

Copilot StudioでITヘルプデスクエージェントを構築し、約10,300時間/年の工数削減見込み。エージェント構築をAI-Readyなデータ構造改革の第一歩に。

株式会社 GSユアサ
製造業
株式会社 GSユアサ
5,000名以上 / 情報システム部 / AIエージェント / 生成AI
自動車用・産業用各種電池、電源システム、受変電設備、その他電気機器の製造・販売
公開日:  更新日:
株式会社 GSユアサ
課題・背景

問い合わせ対応履歴データはあるものの、混在する古い情報やデータ構造がネックになって、調べ直す手間が発生したり、担当者ごとの知見に依存する部分が多く、対応品質の平準化が課題となっていた。

全社で利用している既存のチャットボットは、主に定型的な問い合わせ対応を想定しており、定型外の問い合わせについては十分にカバーしきれない場面が見られた。そのため、ITヘルプデスク全体の工数削減や利便性向上に向けて、さらなる改善が課題となっていた。

窓口担当者が質問内容を見て手動で担当者へメールを振り分ける作業が発生しており、工数を圧迫していた。

効果

実務検証において約7割の納得感のある回答を実現

ヘルプデスクの工数を10,281時間/年削減見込み(約5.4人分の労働力に相当)

エージェントの精度向上の壁が「ツール」ではなく「参照データの質」であることの特定。AIネイティブなデータ構造の変革が不可欠であるというAI活用の成功の勝ち筋を明確化。

Microsoftエコシステム内でのデータ利活用を実証し、レガシー環境からの移行とAI活用の親和性を組織として確認

ポイント

  • 単なるヘルプデスクの自動化(点)に留まらず、全社の参照データの管理・運用ルールの在り方を見直す「線」の施策へと昇華
  • AIの参照先となる「データの構造化」と将来的な活用範囲の拡大を見据え、「脱Notes」「Microsoft365への移行」の足がかりとした
  • 他部署への横展開と、レガシーデータを「負の遺産」から「AIが活用できる生きた資産」へ変革
自動車をはじめ多くの産業に電池や電源システムを提供する株式会社 GSユアサ。同社は、全社から寄せられるITヘルプデスクの対応において全社で使われている既存のチャットボットを活用していましたが、効率化が限界を迎え、結果として対応が属人化するという課題を抱えていました。本事例では、Microsoft Copilot Studioを用いたAIエージェントのアジャイル開発により、課題解決とレガシーシステム脱却に向けた組織変革の端緒を開いたプロセスについて、情報システム部の渡辺様に詳しくお話を伺いました。

対応履歴データはあるが答えに辿り着けない。属人的な対応を打破するエージェント開発

― 今回ITヘルプデスクのエージェント構築を弊社に依頼いただいた背景を教えてください。

渡辺様:

情報システム部門には全社からITヘルプデスクの依頼が寄せられており、全社で使われているチャットボットを対応補助として活用していました。しかし、定型外の質問も増え続け、問い合わせ件数を減らせない状況が続いており、ITヘルプデスク全体の工数削減や利便性向上に向けて、抜本的な解決策が求められていました。

また、各対応者の対応履歴データは存在していたものの、書き方が統一されておらず、問い合わせと対応データが突合できない構造でした。また古い情報も混在しており、情報の再検索を余儀なくされるなど、回答の迅速化が阻害されるだけでなく、担当者が属人的に対応せざるを得ない要因となっていました。さらに、窓口担当者が質問内容を見て手動で各担当者へメールを振り分ける作業も発生しており、大きな負担になっていました。

今回のエージェント導入に対しては、回答の迅速化や対応工数の削減を期待する一方で、「本当に正しい回答を出せるのか」「日々のメンテナンスはどうするのか」といった懸念や不安の声もありました。

― 当社を選んでいただいた決め手を教えてください。

渡辺様:

最大の決め手は、これまで「DX道場」などの研修を通じて築いてきた実績と信頼関係です。他のベンダーからも提案は届きますが、資料だけでは実際の支援内容が不透明な部分もあります。その点、御社はプロジェクトを通じた柔軟な対応を既によく知っていたため、今回の開発支援も安心してお任せできると考えました。

私自身、Copilot Studioを触るのが初めてでしたが、初歩的な質問にも非常に分かりやすく丁寧に、かつスピーディーに対応いただけたことも大変助かりました。

エージェント構築で突き止めた「真のボトルネック」。AI活用を「一過性の施策」で終わらせないために。

― 今回、開発を支援させていただきましたが、プロジェクトの進め方やプロセスについての率直な感想を教えてください。

渡辺様:

要件定義から構築まで、通常なら数か月要するプロセスを、数日単位で試作と改善を繰り返す「アジャイルアプローチ」により、2週間で完遂いただきました。このスピード感あふれるMVP開発をリードしていただいたのは心強かったです。

また、単なるアイデアの検証で終わらず、実際に構築されたAIエージェントを動かし、現場での回答精度の調整などを自分たちで行うことで、AIによるビジネス変革の可能性を「自分事」として腹落ちして実感することができました。

― 実務フローでの検証を通じて、エージェントの回答精度や導入効果についてはどのように感じていらっしゃいますか。

渡辺様:

検証では、感覚値として7割ほど納得感のある良い回答が得られました。解決に向けた事象の推測も概ね的確で、その要約も分かりやすい内容でした。既存のチャットボットでは実現できなかった柔軟な回答能力がエージェントの強みになることを実感しました。

具体的には、「Outlookメールのグループアドレス内のメンバー変更」や「Sharepointのアクセス権設定」といった、従来は窓口担当者が問い合わせ内容を確認し、内容に応じて対応担当者へ手動で割り振っていた業務が対象です。これまではクローズまでに平均2時間を要していましたが、エージェントが提示するサジェスチョンを活用することで、窓口担当者のみでわずか10分で完結できるようになりました。

この結果、本格的な社内展開はこれからですが、年間で10,281時間、約5.4人分の労働力に相当する工数削減のインパクトを見込んでいます。私たちはこれを、単なる工数削減ではなく、創出された5.4人分のリソースを『ルーチン業務』から『価値創造業務』へと転換させるための重要なステップだと捉えています。

― 実務フローでの検証を通じて、現場のメンバーからはどのようなフィードバックがありましたか。

渡辺様:

実際に使用したメンバーからは、「問い合わせ内容が一文で要約されており、非常に分かりやすい」とポジティブな評価を得ています。現場からはさらに「マニュアルページへのリンク案内」や「回答メールの下書き作成機能」といった、より実務に踏み込んだ具体的な要望も上がっています。これらの現場の声を反映した改修が実現することで、追加で約4,200時間の削減が可能になると試算しており、最終的にはITヘルプデスク業務で年間約14,500時間という大きな成果を生み出せると考えています。

― 今回Copilot Studioを採用しましたが、実際に触れてみた手応えはいかがでしたか。

渡辺様:

Microsoft 365環境と親和性が極めて高く、ローコードツールであるCopilot Studioだからこそ、驚異的なスピードでの開発が実現したと感じています。

また、Power Automateなどの既存スキルの考え方を流用できるため、他社製品のようにゼロから構築・学習する時間を大幅に短縮でき、保守運用が自社で完結しやすいという点もメリットですね。

― 検証段階で7割の納得感のある回答が得られた一方で、「真の課題」も見えてきたそうですね。

渡辺様:

はい、その通りです。過去のバラバラな対応履歴をそのままAIに参照させたところ、回答に不要なノイズ情報までを抽出してしまうという事態に直面しました。そこから、AIの回答精度を根本から向上させるには、「プロンプトの指示」だけでなく「AI参照データの構造化」との掛け合わせが非常に重要であると学びました。今後他のエージェントを構築することを考えても、AIがそのまま回答に使えるよう構造化された「AIネイティブなデータの持ち方」への変革とデータのクレンジングが必要不可欠であると特定できたことは大きな収穫でした。

― 今回のITヘルプデスクでの成功をモデルケースとして、今後どのように全社展開を進めていかれる予定ですか。

渡辺様:

「AI活用の成功パターン」を確立できたことも今回エージェントを構築いただいたことで得られたことです。今後はこれを基盤に、2つの軸で展開を考えています。

一つは、同じ課題を抱える他部署への横展開です。社内には、ヘルプデスクと同様に「対応履歴などのデータはあっても、必要な答えを探し出せない」という課題が散見されます。今回ヘルプデスクのエージェント有効性を証明できたことで、人事や経理など他部署へもこの仕組みを広げていける手応えを感じています。

もう一つは、開発部門へのノウハウ共有です。今回のエージェント構築で蓄積したCopilot Studioの具体的な活用ノウハウを開発部門に共有することで、社内のCopilot Studio活用をさらに促進し、よりエージェント構築の内製化を加速させていきたいです。

― 今後の展開を教えてください。

渡辺様:

全社的な基本方針であるレガシーシステムからの脱却である「脱Notes」も進めていきます。今回を機に、TeamsやSharePointを中心としたMicrosoft 365環境へのデータ集約を加速させ、次世代の「データ利活用基盤の構築」へと昇華させていく構えです。弊社はメーカーとして多くの開発資料を有しているため、Microsoft 365環境内にデータを揃えておけばシームレスに活用でき、それが社内データの利活用を全社へ広げていく足がかりになると期待しています。

もう一つは、Copilot Studio活用スキルの底上げです。今後は、さらに多くの社員がCopilot Studioを使いこなせるような実践的な研修をお願いしたいと考えています。参加者から生み出されるアイデアを、情報システム部だけで形にするのは現実的ではありません。だからこそ、今後も御社には、研修に加えて、開発の伴走パートナーとして力添えをいただきたいと考えています。

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