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事例

「生成AIの導入」を「活用文化の定着」へ。キリンHDが事務局1名で実現した、500人の熱量を引き出す戦略的コミュニティ。

キリンホールディングス株式会社
製造業
キリンホールディングス株式会社
5,000名以上 / 全社員 / DXリテラシー / 生成AI
酒類・飲料事業、医薬事業、ヘルスサイエンス事業など、グループ全体の経営戦略策定及び経営管理
公開日:  更新日:
キリンホールディングス株式会社
課題・背景

国内従業員約1.5万人の生成AIの定着を目指し、有志の生成AIアンバサダー活動「Budicle」を立ち上げるも、開始1か月程度で停滞

約500名の参加者に対し事務局1名という人的・知的リソースの限界に直面

「ツールの利用」が目的化し、コミュニティの成功イメージや成果指標が欠如していた

コミュニティ構築の経験や知見が乏しく、戦略策定と実践の両面で自社運営の限界を感じていた

効果

「動的KPI」による評価軸の転換と中長期的な運営指標の確立

熱量の高いコアメンバー(Budicle Plus)の選定による自走型組織への変貌

事務局1名という制約下で、スキルアップAIの知見をレバレッジし、戦略設計(構造再編)と現場伴走(スキル付与)を両立

ポイント

  • フェーズに応じて評価指標を進化させる「動的KPI」の導入による、納得感のある運営設計
  • 熱量の高いコアメンバーを起点に全体を動かす「エバンジェリスト制度」を採用
  • 「生成AI活用」と「エバンジェリズム」の両軸で、インプット・アウトプットを繰り返す月1のコミュニティ施策
  • 対象者

    国内従業員約15,000人※

  • 研修内容

    コミュニティ構築支援
    ※国内グループ会社のうち、標準化された社内システムを利用できる会社に所属する全従業員

国内屈指の飲料メーカーであるキリンホールディングス株式会社では、2025年5月に国内従業員約1.5万人を対象とした生成AI「Buddy AI(バディAI)」をリリースしました。トップダウンでの導入だけでなく、現場の業務に即した活用を広げるため、有志の生成AIアンバサダー活動「Budicle(バディクル)」を立ち上げました。当初の想定を大きく上回る約500名が参加したものの、運営リソースの不足や参加者の熱量の維持に課題を抱えていました。スキルアップNeXtは、コミュニティの戦略策定と施策の企画・運営の両面から支援を行いました。 今回は、デジタルICT戦略部の元村様に、コミュニティ再設計の背景と、コアメンバー「Budicle Plus(バディクルプラス、通称バディプラ)」を中心とした組織変革のプロセスについてお話を伺いました。

500名の熱量をどう維持するか。コミュニティ運営の壁を乗り越えるための「動的KPI」と「設計図」

― コミュニティを立ち上げた背景を教えてください。

元村様:

当社では、デジタル活用を通じて生産性向上と価値創造を実現することを目指し、グループ全体でデジタル活用の促進に取り組んでいます。その一環として、2025年5月にキリングループオリジナルの生成AIツール「Buddy AI」を約1.5万人の連結社員全員向けにリリースしました。
これに先立ち、特定部門で先行導入を行った際、「身近で効果的な活用事例を知りたい」というニーズが現場から数多く寄せられました。全社展開にあたっては、トップダウンの戦略だけでなく、現場から活用を広げていく推進役が不可欠だと感じ、「Budicle」というアンバサダーコミュニティを立ち上げました。
当初は10名程度の規模を想定していましたが、生成AIへの関心の高さから、募集期間約1か月で約500名もの応募がありました。

しかし、立ち上げ当初は盛り上がったものの、開始から1か月を境に投稿が減少し、コミュニティの熱量維持という課題に直面していました。

― スキルアップAIを選んだ経緯と決め手を教えてください。

元村様:

最大の課題は、約500人という大規模な人数に対し、当時事務局のリソースが私1名に限られていたことです。また、参加者のスキルや温度感にも大きなバラつきがあり、強制力のないコミュニティをどう動かせばよいのか、これまでコミュニティ構築の経験もなく、具体的な打ち手が見えなくなっていました。

そんな折、スキルアップAIのコミュニティ支援の実績を知りました。選定の決め手となったのは、実績に裏打ちされた「具体的な打ち手の解像度の高さ」と「設計の緻密さ」です。
特に印象的だったのは、フェーズごとに指標を進化させる「動的KPI」のご提案でした。立ち上げ当初から「事業貢献」などの高いハードルを課すのではなく、まずは「活動量」、次に「定着」といったように、コミュニティの成長に合わせて階段状に目標を設定する考え方は、社内での承認を得る上でも、運営の指針としても非常に有効でした。単なるツールの使い方研修ではなく、コミュニティを「設計された存在」として再定義できたことが大きかったです。

事務局リソースの限界を突破。戦略設計と実践を両立させる「二段構え」の伴走支援

― 実際のスキルアップAIによる支援内容や役割分担を教えてください。

元村様:

大きく分けて、「コミュニティの構造的再設計」と、現場を動かすための「企画・運営」という2つの軸で伴走いただきました。

まず「構造的再設計」では、コミュニティの目的を再定義し、「短期から中長期を見据えた動的KPI」を一緒に設計しました。これまでは「投稿数」などの数字に一喜一憂しがちでしたが、「今は活動量を追う時期」「次は定着を見る時期」と、フェーズごとに追うべき指標をロジック立てて整理でき、上長や社内にも根拠を持って説明できるようになりました。これにより、事務局としても判断に迷いがなくなりました。

次に「企画・運営」の面では、メンバーの熱量を高めるための具体的なインプットとアウトプットの場づくりを支援いただきました。
単に生成AIの知識・スキル習得で終わらせず、学んだことを実践し、周囲の仲間に伝えていく「エバンジェリズム(伝道師活動)」の視点まで踏み込んだプログラムを組んでいただいたのが自走化の鍵となっていると感じています。
整理した目的や動的KPIに沿って、生成AIのインプット、アウトプット、エバンジェリズムのインプット、アウトプットを活動軸に据えて、月1回程度の施策を企画・運営いただいてます。

― スキルアップAIとはどのように役割分担をしていますか?

社内のステークホルダーとの調整や、キリン独自の文化に合わせた最終判断は私が行い、スキルアップAIさんには「他社事例に基づいた戦略の型」や「メンバーの行動を促すための具体的なガイドライン策定」など、専門知見が必要な実務をリードしていただきました。

事務局が私一人というリソースの制約がある中で、スキルアップAIさんには戦略を共に練る『外部の脳』として、そして施策をスピーディーに形にする『並走する手』として支えていただきました。リソースの補完以上に、専門知見に基づいた『客観的な視点』を常に持ち込んでもらえたことが、500人規模のコミュニティの舵取りをする上での安心感に繋がりました。

コミュニティを復活させた「25名の熱量」。失敗さえもナレッジに変える、自走組織の作り方

― 実際に戦略を策定し、施策を実施してみていかがでしたか?

元村様:

最も大きな変化は、コミュニティの中に「Budicle Plus(バディクルプラス)」というコアメンバー25名を定義したことです。500人全員を均一に動かそうとするのではなく、まずは熱量の高い層にフォーカスし、彼らに“ファーストペンギン”としての役割を託す戦略を採用することにしました。
また、コミュニティの役割を「AI活用の知識を得る・実践する」だけでなく、「仲間に広める」ことだと再定義しました。これにより、Budicle Plusのメンバーに「自分が周囲に働きかける存在である」という自覚が生まれました。
実際、事務局からの発信に対して、まずはBudicle Plusのメンバーが積極的に反応やコメントをしてくれるようになり、それを見た他のメンバーも投稿しやすくなるという好循環が生まれています。以前は一桁台だった投稿数も回復し、活気が戻ってきました。

※ファーストペンギン: ペンギンの群れの中で、アザラシなどの天敵の潜む海へ、魚を求めて最初に飛び込む一羽のこと。転じて、リスクのある状況で最初に挑戦する存在を讃える言葉。

― 受講者の反応や、コミュニティ内の変化はいかがでしたか?

元村様:

「失敗や葛藤も共有する」というグランドルールを設けたことで、心理的安全性が大きく向上しました。「〇〇ができないから教えてほしい」といったヘルプ投稿や、うまくいかなかった事例の共有が増え、お互いに頼り合える空気感が醸成されています。
象徴的だったのは、あるメンバーが自発的にオフィスの卓球台スペースを使って「Copilot相談会」を開催したことです。事務局の指示を待つことなく、現場から生まれた活動は、まさに私たちが目指していた「自走」の形でした。
また、社内のSNSツールでも「Budicleのグループを作らないか」という提案がメンバーから上がるなど、与えられた場に参加するだけでなく、自分たちで場を作ろうとする動きが出てきています。「Budicle」という冠が、メンバーの自己効力感を高め、行動変容につながっていると実感しています。

― 今後の展開を教えてください。

元村様:

現在はコミュニティの「構造」が整い、自走が始まったフェーズです。次のステップとして、2026年7月頃までには「生成AIの活用率向上」を追い、その後はAIエージェント実装数や具体的な事業貢献などKPIを進化させていきたいと考えています。
AIを使うことが目的ではなく、日常の一部として当たり前にAIが存在し、それによって業務が効率化されたり、新たな価値が生まれたりする状態を目指します。Budicleのメンバーが職場での「当たり前」を変えていく起点となり、全社のDX推進を加速させるエンジンになってくれることを期待しています。

スキルアップAIでは、様々な業界業種で950社以上の企業・自治体のAI/DX推進を支援しています。
ITやデジタルなどのDX推進、​​​​​​AI開発や生成AI活用などのAI導入/推進における、幅広い業界の人材育成の事例集をご用意しておりますのでぜひAI/DXの人材育成にお役立てください。

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