Success Stories導入事例
気象情報に付加価値をつけて企業として次のステップに
― 貴社の事業の観点から、【基礎から学べる気象データアナリスト実践講座】を受講された背景を教えてください。
足海様:
当社は気象・地象・海象をカバーする数少ない企業で、7~8年ほど前からは気象データを使った問題解決をメインビジネスに据えています。
当社としてもお客様の課題を解決するためのソリューション提供を行っていますが、一方で当社が持っている過去の気象データだけを購入されるお客様もこの4~5年で増えています。ただ、気象データの購入後、うまく活用に成功したというお話を伺うこともなかなかありませんでした。
そこで当社に「気象データを分析してほしい」という依頼をいただくことも出てきました。当社の体制としても、多くのお客様に満足していただける価値提供を行うためには気象データにビジネスで活用するための付加価値を付けられる専門知識を持った人材を育てていかないと、企業として次の段階は進めないと考え、気象庁の気象データアナリスト養成講座の認定を受けているスキルアップAIの講座を受講することとしました。
初めての機械学習に苦戦しつつも講座を修了
― 実際に講座を受講された山田様にお伺いします。これまでのご担当業務や受講前にお持ちだった知見にはどのようなものがありますか。
山田様:
当社では防災や気象に関する情報をお客様にご提供していて、私は気象予報士としてお客様からの気象に関する疑問点や、「今後の天気はどうなる?」といったご質問に対して解説をしています。Javaのプログラミング知識や、情報処理の資格は持っているのですが、機械学習の分野に関しては受講をして初めて学びました。
― 機械学習を初めて学んで、事前にイメージしていたものとの違いや、難易度といった点で感じたことを教えていただけますか?
山田様:
まず、Pythonのプログラミングについては、事前知識が多くなかったので一つずつ調べながら進めたため時間がかかりました。機械学習の段階では、授業で聞くと簡単そうに思えても、自分で実践すると難しいということが多かったです。例えばオープンデータを取得してPythonで計算させ、モデルの精度を良くしていく、といった手順を授業でさらっとお聞きしました。しかしいざ自分でトライしてみると、何度実行してもエラーが出て先に進めなかった、といったことがありました。
「本当にこれで合っているのか?」と思いつつも、周りにPythonの経験者があまりいなかったために質問することができず、「こんな感じでいいのかな?」思いつつも課題を提出。回答例が返ってくると、まったく違っていてがっかりした、ということもありました。
受講を通して、1番勉強になった部分や、活かせそうだと思った部分を教えていただけますか?
山田様:
これほどいろいろな種類のCSVデータを扱う機会はありませんでした。講座の中には演習がいくつかあったのですが、演習を実際に自分でやってみて、やはりデータが揃っていると学習をさせやすいということが実感としてわかってきました。これは今までにない収穫だと思っています。
また、気象データと組み合わせやすいのはどういったデータなのかが考えられるようになりました。その視点を獲得できたのは、今後業務で実践していく上で1つ大きな収穫だと思っています。
気象予報士の方と言うのは、日頃から数多くのデータを見ることに慣れている印象を持っていました。
井原様:
もともと気象予報の世界はアナログで、手書きの天気図を見て、それをわかりやすい言葉に翻訳して伝える、説明するということを行ってきました。
デジタル化の進展により取得できる気象データが多くなったこともあり、様々なデータを分析して数値で予報を行うようになったのは比較的最近のことです。データ分析についてはまだまだこれから勉強という者も多く、山田のようにデータをハンドリングできる技術を持った人材の育成は気象予報士全体として進めていかなければならないことだと思っています。
― 講座を修了されて気象データアナリストとして活躍が期待されますが、講座終了後、業務にはどのように知見を活かしていますか。
山田様:
今回の受講で自分が得た知見を社内で共有しています。営業やシステム開発の担当者と「データ分析の世界はこんな感じで進んでいる」という視点を持った仲間を社内に増やし、これから業務で実践していくための下地を作っているところです。
足海様:
会社としても次のステップをどう描くのか、検討プロジェクトを立ち上げています。まずは気象データ分析や活用のためのコンサルティングができる人材がいることをしっかり認知してもらい、お客様と一緒に問題解決に取り組んでいく事例を増やしていきたいと思っています。
やはり気象に関する知識がないと気象データをハンドリングするのは簡単ではないと考えています。気象予報士が持つ気象の知識、気象データアナリストが持つ気象データ活用の知識、そしてお客様のビジネスのドメイン知識を合わせて正しいデータ分析や活用につなげていければと考えています。
電力や食品を始め、幅広い業界で気象データの活用が期待できる
― 気象データを活かせる業界としてはどのような業界が挙げられますか。
足海様:
今、1番求められているのは電力関係で、その次に来るのが食品関係と見ています。食品は生産から途中の流通、そして最後の小売まで、ものすごく幅広い。各工程を統合的に分析し、最適なメカニズム、ルートを作っていくことが必要だと思っています。
これは気象の会社1社で手掛けられる仕事ではなくて、よりマクロな視点でビジネスに関与している企業と一緒に進めていかないといけないと思っています。
ただ、全工程に関わってくる気象という事象をどのように読み解いて、活かしていくのか。その知恵を持っているのは我々だと思っています。
山田様:
気象データアナリストという肩書きに恥じないように、発展的なご提案をしていく力をつけ、課題解決に寄与できるよう努力していきたいと思っています。
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