スキルアップAI ロゴ

事例

研修と伴走支援により自分ごと化を促し、Copilotの毎日利用率が76.9%と受講前より25.3ポイント増加

株式会社JTB
株式会社JTB
5,000名以上 / 全社員 / 生成AI
ツーリズム事業、エリアソリューション事業、ビジネスソリューション事業、グローバル領域事業
公開日:  更新日:
株式会社JTB
課題・背景

生成AIツールを利用できる環境はあるものの、デジタルリテラシーがあまり高くない傾向にあり、十分に活用されていなかった

機能説明だけでは業務への落とし込みが難しく、Copilotに関する体系的な教育体制が十分ではなかった

ハンズオン研修の重要性は認識していたが、リソースの制約から大規模な実施が困難だった

効果

毎日Copilotを利用する社員の割合が、研修前の51.6%から76.9%へと25.3ポイント向上

研修で生まれた活用法を全受講生に展開した場合、年間で約3240時間の業務削減効果見込み

一連の研修と伴走支援を通じて業務課題を解決するプロンプトが開発され、チーム内で共有されるなど具体的な活用事例が生まれた

ポイント

  • eラーニングでの事前学習と、参加必須のハンズオンを組み合わせた段階的なプログラムが効果的だった
  • 研修内で業務分解のセオリーを学び、自身の業務にどう活かすかを考える「自分ごと化」を促進できた
  • 活用意欲の高い層を対象としたことで、研修効果が最大化され、参加者同士が学び合う相乗効果が生まれた
  • 対象者

    全社から希望を募ったメンバー

  • 研修期間

    約2か月

  • 研修内容

    ビジネスパーソンのための対話型生成AI講座(Copilot編)、Microsoft 365 Copilot活用講座、 生成AIアイデアソン講座(Copilot編)、
    Copilot道場(質問会)

旅行業界のリーディングカンパニーである株式会社JTBは全社的な生産性向上を目指し、社用生成AIチャットの展開や、Copilotの導入など、生成AI活用を推進しています。しかし、多くの企業が直面する「使える環境はあるが、使われない」という壁に直面していました。この状況を打破すべく、スキルアップNeXtの段階的Copilot研修と実践型伴走支援を実施しました。データインテリジェンスチームで生成AIの活用推進を担う茂手木様に、実施背景や評価、今後の展望まで、詳しくお伺いしました。

“使われない”課題を乗り越えるために。痛感した「自分ごと化」の重要性

― 研修実施前の状況・背景について教えてください。

茂手木様:

弊社では、全社員が利用できる社内専用の生成AIチャットツールを開発・提供しています。一方で、Copilotは、特にPowerPointやWordといった日常業務で頻繁に使うツールとの連携に期待し、希望する部門が費用を負担する形で導入していました。

しかし、このように環境を整えても、なかなか利用率が上がらないという課題がありました。各ツールの機能説明や汎用的なユースケース紹介だけでは「自分の業務にどう活かせるのか」という具体的なイメージに繋がりにくい社員が多かったのです。

― 研修実施に至った経緯やきっかけを教えてください。

茂手木様:

前述のような背景もあり、生成AIツールを浸透させ、生産性向上に繋げるためには、参加者自身が手を動かしながら「自分の業務ならどう使えるか」を考えるハンズオン形式の研修を地道に実施することが不可欠だと考えていました。一方で、自社専用ツールの普及に精一杯で、プラスαのCopilotの研究や教育に十分にリソースを割けないという課題がありました。そんな中スキルアップNeXt様の研修サービスを知り、お願いした次第です。

業務での生成AIの活用セオリーが腹落ちしたからこそ、研修後も積極的に業務改善に繋がるプロンプトが生み出される。

― 実際に研修や伴走支援を受けてみて、どのような成果がありましたか?

茂手木様:

定量的な成果として、毎日Copilotを活用する人の割合が受講前の51.6%から76.9%へと、25.3ポイントも向上しました。また、Copilot作成質問会に参加した17名で月に合計約48時間の業務削減効果が出ています。さらに、研修で得られた活用アイデアを全受講生が実施すれば、年間で最大約3,240時間もの削減が見込めるとの試算もあり、今後の積極的且つ継続的な活用に期待しています。

正直なところ長時間の研修には不安もあったのですが、期待以上の成果でした。eラーニングは、単なるCopilotの使い方の説明に留まらず、近年の生成AI全体の動向が体系的に網羅されていて非常に充実した内容でした。その上で臨んだ「生成AIアイデアソン講座 Microsoft 365 Copilot編」はハンズオン形式で、顔出しやコメントを必須にするなど、参加者が途中で脱落しないための工夫が凝らされており、受講者が最後まで集中して取り組めていました。こうした設計のおかげで多くの社員が「自分の業務を分解して、生成AIの活用アイデアを生むセオリー」を学べたようです。「何をしていいか分からない」という状態から、確実な一歩を踏み出せたと感じています。

― 受講者からの反応はいかがでしたか。

茂手木様:

研修中、参加者同士が発表に対して積極的にコメントし合うなど、互いに学び合おうという雰囲気が自然に生まれていたのが非常に印象的でした。この規模の研修ではなかなか見られない光景で、本当にやって良かったと感じた点です。

また、研修後も、同じ課題を持つ者同士で業務改善に繋がるプロンプトに関する情報共有をし合うなど部門を超えた交流が生まれました。更に、受講者がこちらのアイデアソンで考案したアイデアを更にブラッシュアップさせ、別途開催していた社内生成AIハッカソンに挑戦してくれたケースもありました。これも、今回の研修や伴走支援で業務における生成AIの活用セオリーという、ツールに依存しない普遍的な考え方をつかめたからこその成果だと思います。

― 今後の展開を教えてください。

茂手木様:

今回の研修や伴走支援を通じて、生成AIの活用推進には、社員の関心度やリテラシーレベルに合わせた「層」を見極めたアプローチが極めて重要だと再認識しました。昨年は初心者向けの啓蒙活動に注力していましたが、その分ある程度知識や意欲のある中間層へのアプローチが手薄になっていました。今回の研修は、まさにその「Copilotなどの生成AIツールを使い倒したい」という意欲の高い層に、内容・難易度ともに非常にマッチしたのだと思います。

なお、今回の研修は全社に一斉告知したわけではなく、社内にある生成AIのコミュニティ内でまず案内しました。そのため、もともと情報感度や学習意欲の高い層が集まってくれたことも、成功の大きな要因だと考えています。まずは熱量の高い層に確実に火をつけ、そこから波及させていくアプローチが重要だと改めて感じました。

今後は、この2,400名以上の社員が参加している生成AIコミュニティを、さらに活性化させていきたいです。これまでは私達からの情報発信が中心でしたが、これからは参加者自身が主役となって事例を共有し合える場にしていきたいと考えています。今回の受講者にも学びやその後の進捗を是非発信してもらえるよう働きかけてみたいと思います。

あわせて読まれている事例

事例の詳細をもっと知りたい、
DX人材育成について相談したい方は
お問い合わせはこちら

他の事例を探す