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事例

「コンシェルジュ型AIエージェント」を構築し、問い合わせを自動化。設計部全体で18,960時間/年(1,580時間/月)削減するとともにユーザー側の質問ハードルを解消。

株式会社大林組
不動産・建設
株式会社大林組
5,000名以上 / AIエージェント
建設業
公開日:  更新日:
株式会社大林組
課題・背景

月間40件の問い合わせに、1件あたり約180分を要し、月120時間の対応工数が発生していた

コンシェルジュの対応履歴がExcelでの簡素な記録に留まり、担当者以外の活用が難しかった

新入社員やツール利用歴の浅い社員にとって質問ハードルが高く、自己解決のための検索や試行錯誤に設計部全体で1,500時間/月を費やしていた

効果

一次対応の自動化によりコンシェルジュの業務を月80時間削減見込み

Revit作業者300人に展開時に、ユーザーの自己解決時間を月間1,500時間削減見込み

設計段階での疑問解消により、プロジェクトの後工程における手戻りを200件削減見込み

ポイント

  • Microsoft Copilot Studioを活用したインフラ構築不要の1.5ヶ月でのスピード開発
  • SharePointを用いた履歴・評価保存の運用フロー定義と実務を見据えたベンチマークQAによるデータ検証
株式会社大林組では、BIMソフト「Revit」の社内普及を進める中で、問い合わせ対応の効率化と初心者の質問ハードルを避けることが大きな課題となっていました。これに対しスキルアップNeXtは、Microsoft Copilot Studioを活用した「BIM(Revit)コンシェルジュ型AIエージェント」のMVP開発を1.5ヶ月の短期間で実施。コンシェルジュ業務を年間960時間、ユーザーの自己解決時間を年間18,000時間削減が見込まれ、大幅な時間を創出できる可能性が示されました。プロジェクトを主導した設計本部設計ソリューション部の榊原様に、AIエージェントの構築に踏み切った背景や具体的な効果、そして今後の展望についてお話を伺いました。

月120時間の問い合わせ対応の効率化と、初心者の質問ハードル低下に向け、1.5ヶ月でAIエージェントのMVPを構築

― 導入前の御社のDXへの取り組み状況について教えてください。

榊原様:

私たちの部署では、AI Readyな組織の実現を見据えて、まずは研究開発メンバーに向けてAIベンダーを招いて、1時間程度のMicrosoft Copilot Studioの研修を開催し、私自身も受講しました。そこで実際に手を動かした経験や基本的な機能を理解できていたことが、今回のプロジェクトをスムーズに進める上での大きな土台となりました。

また、社内全体では、AIエージェントに関する質問対応や実際の構築、相談を受け付ける専門組織としてBPR部が新設されました。

― AIエージェント構築前の、課題を教えてください。

榊原様:

設計部では、コンシェルジュ3名体制で、BIM(Revit)に関する問い合わせ対応を行っています。毎月提出されるレポートによると、問い合わせは月間40件程度あり、1件の対応に約180分を要し、トータルでは月間120時間もの対応工数が発生していました。

最も時間がかかっていたのは、原因特定のためのコミュニケーションです。設計者がTeamsに投稿した質問に対し、コンシェルジュがその背景等を確認する質問を重ねる等していましたが、文字だけでの意思疎通が難しく、結果として打ち合わせが発生する等、コミュニケーションコストが膨れ上がっていました。

さらに、問い合わせ対応ではExcelで対応履歴を蓄積していましたが、質問と回答だけを簡潔にまとめていました。対応の過程や共有された画像などが残されておらず、担当者以外が過去のナレッジを活用しづらいという課題も抱えていました。

また、コンシェルジュを利用する側の課題もありました。特に新入社員やBIM利用歴の浅い方にとっては、チャネルで気軽に質問するには心理的ハードルがあったようで、自己解決しようと検索や試行錯誤に1人あたり月間5時間程度を費やしていたことも分かっています。

― スキルアップNeXtを選んだ経緯と決め手を教えてください。

榊原様:

私自身が以前、スキルアップNeXtの提供するAIプランニング研修(※)に参加したことがきっかけです。その際、設計担当者としての具体的な悩みを講師の方に相談したことが本プロジェクトに繋がっています。

研修を通じて担当者様のスキルや人柄を事前に知っていたため非常に相談しやすく、どのような情報を準備すればエンジニアの方に意図が伝わるかも理解できていたため、要件定義やコミュニケーションのスピードが格段に向上しました。私たちの意図を先回りして理解してくれる、信頼できる育成パートナーだからこそ、迷うことなく開発プロジェクトを任せることができました。

※現場で使えるAIプランニング・プロジェクト推進基礎講座
https://www.skillupai.com/ai-planning/

コンシェルジュ業務を年間960時間、ユーザーの自己解決時間を年間18,000時間削減見込み。「AI Readyなデータ構造」という本質的課題の特定。

― Copilot StudioでAIエージェントを構築してみて、いかがでしたか?

榊原様:

通常、新しいAIツールを導入する際には、社内の様々な部署を通じた利用可否の検証やインフラ構築など、事前準備に多くの時間を要します。今回、Microsoft Copilot Studioを採用したことで、すでに社内で契約していたMicrosoft 365の基盤をそのまま活用できました。そのため、事前の検証手続きなどの準備がかなり少なく、インフラの環境構築作業もなしですぐに開発へ進めることができたのは、非常に大きなメリットでした。

― 実際に構築したAIエージェントの評価を教えてください。

榊原様:

今回のAIエージェントは、Revit作図講習などの社内ドキュメントや過去の回答履歴を参照し、簡単な質問や社内ルールに関する質問に対して即時に回答する仕組みを持っています。特に、実務での実用性を高めるために「複雑すぎる質問には回答させず、簡単な質問や社内ルールに関する質問に特化させる」という明確な方針を定めました。その結果、約80%の回答精度を持つ一次受付エージェントを1.5ヶ月の短期間で構築することができました。

これにより、簡単な質問を自動で即時的に解決に導けるようになり、コンシェルジュの対応業務を月間80時間削減できる見込みです。この時間を使って、コンシェルジュの業務は、複雑な質問への対応や、基準の策定、マニュアルのアップデートといった、より高度なものへシフトしていく見込みです。

さらに、AIエージェントが対応することで「人には気兼ねして聞きづらい初歩的な質問でも、AI相手なら気軽に質問できる」という環境ができました。これにより、これまで自力での検索や試行錯誤に費やしていた時間が不要になり、ユーザーの自己解決時間が短縮されることで、設計部全体(300人展開時)で月間1,500時間、年間では18,000時間を削減できると試算しています。また、設計者が初期段階で疑問を気兼ねなく解消できるようになるため、次工程に引き継ぐ前の一斉チェックで引っかかっていた手戻りを、プロジェクトあたり200件削減できる見込みです。

また、定量的な効果だけでなく、「ありもののデータ」をそのまま投入するだけではAIが機能しないという『AI Readyなデータ構造』の壁を早期に特定できたことも成果の一つです。「やってはいけない操作」の明確な線引きなどがマニュアルに明示されておらず、AIが理解できる形に落とし込めていないという組織的な課題に気づくことができました。

スキルアップNeXtには、実業務を見据えたSharePointによる履歴・評価保存の運用フローの定義や、ベンチマークQAの作成など、実務で使える回答精度に向けたテストと評価プロセスを迅速に確立していただきました。さらに、今後進めるべき改善策を分かりやすく言語化して資料にまとめていただいたため、上層部への報告や今後の施策展開に非常に役立っています。

― 実際にAIエージェントを利用した社員の皆様からの反応はいかがでしたか?

榊原様:

現在は、Revitを使用する人数が多いグループ会社の方々を対象にトライアルを行っている段階で、詳細なすり合わせは今後の打ち合わせを予定していますが、「思ったよりもしっかりとした良い回答をしてくれる」という手応えの声をすでに多く得ています。

一方で、今回構築したエージェントがまだ学習しきれていない部分に対しては具体的な要望やフィードバックが届いています。この具体的な反応こそが非常に重要で、過去のExcelの質疑集に書き留められていなかった情報や、既存のマニュアルで分かりづらかった記述がどこにあるのかを洗い出すきっかけになっています。これがマニュアルのアップデートや、今後の質疑集の汎用化といった現場主導の自走・改善サイクルを加速させています。

― スキルアップNeXtと開発プロジェクトを進めてみて、いかがでしたか?

榊原様:

開発の過程でスキルアップNeXtのAIエンジニアの方々がどのようにCopilot Studioを構築しているのか、なぜその機能を選択したのかを細かく教えてもらいながら進めることができたため、始める前よりもCopilot Studioに関する知識やスキルが格段にあがりました。全く分からない状態ではなく、事前の研修と実践を通じて、自信を持ってプロジェクトに臨めたことが、大きな収穫へと繋がったと感じています。

― 今後の展開を教えてください。

榊原様:

まずは、今回のMVP構築で特定した「データ整備の必要性」を糧に、今後のAI精度向上に向けたナレッジ管理・蓄積の仕組み作りを自社主導で進めていきます。社内でどれだけ「データを整えなければAIを十分に活用できない」と発信しても伝わりにくい部分がありました。しかし、今回のエージェントを通じて「データが整っている領域は正しく答え、整っていない領域は答えられない」という実態が明確に可視化されたことで、データ構造化の重要性がメンバー間でも腹落ちし、社内でのコミュニケーションが非常に取りやすくなりました。

今後は、設計部内で開始された業務改善のアイデア募集とも連携し、今回のエージェントをモデルケースとして、他のソフトウェアや他部署への横展開を推進していきます。一度構築したチャットボット形式の基盤や回答の制御手法は、ナレッジの入れ替えや少しの工夫で使い回すことができるため、この基盤があることのメリットは非常に大きいと捉えています。

さらに、社内からAIエージェントに関する研修の要望が複数届いているため、メンバーのリテラシー向上を見据えたエージェントの作り方や活用方法を学ぶ研修も開催したいと考えています。

将来的には、テキストによる回答に留まらず、エージェントに人間と同じ動きをさせて業務を自走・自動化させる高度な活用を目指しています。スキルアップNeXtとは、これまでのワンストップでの支援スタイルを活かし、より自由度の高いエージェントの共同開発や、建設業における全社的な業務変革の定着化に向けたパートナーとして、これからも共に挑戦し続けていきたいと考えています。

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