Success Stories導入事例
E資格に合格するためのAIエンジニアスキル習得研修を実施し、合格率100%を達成
- 研修前の課題・背景
-
製品の品質を職人の経験や技能に頼る部分が多く、生産性を高められない現状
-
AI需要に対応可能な人材養成も重要、「E資格」取得を支援し県内IT企業の競争力を高めたい
- 研修後の効果
-
県内から集まった有志10名以上がE資格に合格
-
参加者がAIアプリの開発などに携わるように
研修のポイント
- 通常半年の講座を約1ヶ月の短期集中バージョンにアレンジし研修を実施
- 予習、講義、グループワークと繰り返すことで知識とスキルを習得
- 短期間で効率よく学ぶために重要な部分にポイントを絞り実施
-
対象者
山形県内の中小企業社員
-
研修期間
約1ヶ月
- 研修内容
ものづくりに携わる中小企業の生産性を上げたかった
― E資格を県内のエンジニアに取得してもらおうと思った理由はなんですか?
松木様:
AIの需要は今後爆発的に増大すると言われていることから、AIを実装できるスキルを持つエンジニアを育て、県内のものづくり企業の生産性を高めることを支援したいとの思いからです。
生産性向上のためには、各工程の作業を間違いなく正確に進めていくだけでなく、作業工程を改善していく必要があります。そのためには工程を見える化し、検証、改善する仕組みが必要です。しかし、県内中小のものづくり企業の多くは、製品の品質を職人さんの経験や技能に頼る部分が多く、なかなか生産性を高められない現状がありました。
生産性向上のためにまず必要なのは現状の把握、「IoTを使った工程の見える化」です。そのために山形県では「地方版IoT推進ラボ」を設立し、IoT普及啓発のためのセミナーや勉強会等を開催するほか、IoTの普及を図るために広報とマッチング活動を行うコーディネータを配置しました。
加えて、今後増大するAI需要に的確に対応できる人材養成も重要なので、エンジニアにトップレベルのAI資格である「E資格」の取得を支援して県内IT企業の競争力を高めることを目指しました。
具体的には、「AIトップエンジニア養成事業」として、主に首都圏等で開催されている資格取得のための講習を山形県内で開催し、併せて受講費用を助成して受講者の負担を軽減し資格取得を促進する事業を立ち上げました。事業の実施には多くのIT企業とつながりのある山形県情報産業協会と連携して、講習会等のプログラムを企画しました。
菅井様:
私は、山形県情報産業協会の事務局として、プログラムの企画を担当しました。企画が立ち上がると今度は、県内IT企業を中心に受講生を募集しました。最終的には募集枠いっぱいの12名が応募して、最後まで受講したのは11名でした。このうち6名が修了し、5名が8月末の「E資格2019#2」を受けて見事全員合格を果たしました。
応募した方々は皆、自分たちの会社の未来に対するある種の焦りがあるのかと思います。県内の中小企業の多くは、首都圏の大企業の下請けとして売上を依存しているのが現状です。そのため、AI関連のスキルを身につけ、自社の生産システムの改善や新商品開発をすることで、下請け体質から脱却し、新しい市場に打って出るための機会として捉えたのではないでしょうか。
最終的な決め手は「講習期間と合格率」
― スキルアップAIの研修プログラムを選んだ理由を教えてください
菅井様:
いくつかのJDLA認定プログラムを比較・検討した結果、最終的には試験合格率の高さからスキルアップAIにお願いすることに決めました。
また、こちらのオーダーに合わせて講習スケジュールを組んでもらったことも助かりましたね。「トップエンジニア養成事業」は単年で終わるのではなく、毎年継続しなければ意味がないことから、できるだけ早期に実績を出す必要があると思っていました。
最大の問題は、講習を始める予定だったのは5月でしたが、現実的には7月からの開始となり、8月の受験を目指す場合、試験までの間にお盆休みを挟む関係上、実質1か月ほどしか講習期間がなかったことです。
そんな状況をスキルアップAIに相談すると、通常半年ほどかけて取り組む講座の内容を、1ヶ月の短期集中でインプットしていただく内容にカスタマイズしてくれました。自分たちの状況に合わせて講座内容を組んでもらえて、非常に助かりましたね。
知識ゼロからの合格
― 実際に講義を受けた感想を教えてください
伏見様:
とても分かりやすかったです。私はAIに関しては全くと言っていいほど知識がありませんでしたが、それでもなんとかついていくことができました。AIに関する知識が体系化されており、必要な知識を順序立ててインプットしてもらったのがよかったのだと思います。
もともとAIには興味があったのですが、独学で学ぶには敷居が高くなかなか手を付けられないでいたところだったので、今回は本当にいい機会でした。最初は、Python(パイソン・汎用のプログラミング言語)すら知らない状態でしたが、ゼロから学べたのは、自分にとっては非常によかったです。
土田様:
私は以前からAIの勉強はしていたので、AIに関する知識はゼロではありませんでした。それでも、後半は授業内容のレベルが高くてついていくのが大変でしたね。よくある研修の一環だと捉え、なんとなく受けているだけではとてもじゃないですがついていけなかったと思います。
伏見様:
大変でしたよね。具体的な講座の流れとしては、まず講義の前に動画を見て内容を予習し、次に講義を受けて講師がポイントになるところを説明してくれるというスタイルでした。さらに講義の各ポイントにはグループワークがあり、実践的な課題にグループみんなで、学んだ知識を使いながら取り組みました。それによって、講義で習った知識を定着させたり、実践でも使える形に落とし込んだりしていきました。予習、講義、グループワークと繰り返し、知識を積み重ねていきましたね。
― E資格に合格できた要因は何ですか?
土田様:
個人的に大きな要因だと思ったのは、講義を卒業する際に受ける修了テストがハイレベルで、実際のE資格の試験の難易度かそれ以上だったことです。その問題さえ繰り返し解けば、E資格合格レベルに自然に近づいていくようになっていました。
また、今回は特に勉強時間のない中での試験だったため、短期間で効率よく学ぶために重要な部分だけポイントを絞って教えてくれたことも大きかったです。さらに、毎年の試験の傾向も教えてくれたりと、いわゆる試験対策をしっかり実施してくれたので助かりました。
― E資格取得後、何か変化はありましたか?
土田様:
展示会で顔認識技術の説明をしたり、山形県が実証実験をしている、音声から文字を起こして議事録を作るアプリの開発に携わりました。いずれも他社の技術ですが、自社の技術だけでなく、他の会社の技術を理解し、それをよく知らないお客さん相手に説明できるようになったのは資格取得に向けて勉強したからだと思います。
また、ネット上に無料公開されているAIに関するオープンソースをダウンロードし、それをいじってプログラムを組めるようにもなりました。これからの時代は自社で0からプログラムを開発する必要はないと思っており、すでに共有されているパーツを組み合わせることで効率的に必要なプログラムを組めるのだと思っています。その点、資格勉強で身につけた知識を活かすことで、良いパーツを選び、活用することができるようになりましたね。
山形にAI人材を根付かせていく
― 県としての今後の展望を教えてください
松木様:
今年度は受験者が全員合格するという素晴らしい実績を上げていただきましたので、この資格取得に向けた取り組みを継続できるよう次年度の計画をしているところです。
先見的な取り組みをしている企業では、従来のやり方を続けていては新しい時代の需要やニーズに対応できずに衰退するという危機感を持っておられます。だからこそ、今後の成長が見込まれるAI技術を先駆けて取り入れていただくよう「トップエンジニア養成事業」は続けていく必要があります。また、育てた人材が県内で活躍できるようなフィールドも用意できればと検討しているところです。
この取り組みと併せて、IoT/AI活用の有用性を多くの方に、特にものづくり企業の経営層の方々に広めていきたいと考えています。
山形県のものづくり技術は全国と比較して十分に高いレベルですので、先端技術をうまく使って山形のものづくり産業を盛り上げていきたいとの思いです。
(お話を伺った皆様)
山形県商工労働部 工業戦略技術振興課 産学官連携推進主幹 松木 和久様
一般社団法人山形県情報産業協会 事務局長 菅井 一雅様
株式会社YCC情報システム 産業システム部 係長 伏見 芳郎様
株式会社YCC情報システム システム開発部 土田 純平様
あわせて読まれている事例
この事例で導入された講座
DX人材育成について相談したい方は