Success Stories導入事例
全社横断的なDX推進に向け、「IT・デジタルを用いて事業課題を解決できる人材」を育てる取り組み
吉村 美希 様: 2022年1月、キャリア採用でデジタル戦略部(旧:DX推進部)に参画。前職での人事経験を活かし、現在はIT・デジタル人材の育成に従事している。
渡辺 麻梨子 様:情報システム部門や人事部門の経験を経て、デジタル戦略部参画。IT・デジタル人材の採用や教育制度の設計に従事している。
- 中長期経営計画の実現に向け、新たな事業価値を創造するためにデジタル戦略を強化する必要性
- 事業部門に所属しつつ、IT・デジタル分野にも精通する「ハイブリッド人材」育成の重要性
- 部門間でデータ活用やデータ分析に対する温度感や習熟度にバラつきがある
- IT・デジタルを用いて自らの業務における課題を解決できる人材を育てる必要がある
- レベル別教育を導入するとともに、意識変革を促したことで、業務改善につながるアウトプットが出せるようになった
デジタル戦略部を中心に、全社横断的なDX推進を目指す
2023年1月に新たに「デジタル戦略部」が立ち上がったと伺いました。
吉村様
はい。以前から部門ごとにデータ活用、データ分析などは行われていましたが、その活用の仕方や程度には差がありました。また各部門間のデータを連携させながら、効率的で最適な事業活動を実現する仕組みが整っていませんでした。そこで、デジタル技術を活用し、ライオングループ全体の事業活動の変革を先導するため、2021年にDX推進部が立ち上がりました。もともと研究開発部門でデータサイエンスに取り組んでいたメンバーと、当時の情報システム系部門のメンバーで構成された小規模な組織でした。
その後、複数部所に分散していた、IT・デジタル関連の戦略立案機能、システム開発・保守・運用やデータ分析などを含む施策実行機能とシステムを用いた業務改革の機能を集約し、2023年1月に「デジタル戦略部」という組織が立ち上がりました。
デジタル戦略部が目指すゴールや中長期的な目標は?
吉村様
2030年に向けて、当社は「スピードと効率を備え、高度化・新価値の創出を実現できている」状態を目指し、データドリブン経営への変革を推し進めます。当社のパーパスである「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」を起点とした経営をより一層強化するため、ライオングループ全体のデジタル戦略を牽引することが、デジタル戦略部の役割です。
2030年の大きな事業展開に向けて、具体的にどのような取り組みを実施しているのでしょうか?
吉村様
大きく3つあります。
1つ目が、経営管理能力の高度化です。データに基づくスピード感のある意思決定の実現を目的に、昨年度新基幹システムが稼働しました。今はその新基幹システム活用を促進し、サイロ化していた情報を連携、かつリアルタイムに連携させることで、特にサプライチェーンマネジメントの改革においては、より速く的確な商品供給をしながら、業務効率化も進め、生産性向上を目指しています。
2つ目が、新価値創造へのチャレンジです。さまざまな市場ニーズをとらえながら、ライオン独自の事業知見を活かし、新たな事業テーマを模索していく。そのためにもデータの活用や先進技術の取り込みが必要不可欠で、その点においてデジタル戦略部が全社をリードしています。
3つ目が、組織風土の変革です。まさに今回の研修で取り組んでいるところでもありますが、当社ではDXを牽引できる人材の育成が喫緊の課題となっています。特に事業部門に所属しながらITやデジタルの知識を持ち合わせたハイブリッド人材を、各組織で増やしていくことが目標です。
渡辺様
外部のリソースに頼る場合、事業、システム双方のドメイン知識のすり合わせだけで多くの工数が発生します。そのため、各事業部門内にも一定のITやデジタルに関する知識を持ち、事業とデジタルをつなぎ最適な課題解決策を企画・推進できる人材を育成するという動きは、とても大きな効果が見込めると考えています。
各部門でIT・デジタル人材やデジタル戦略部と連携できる人材を増やしていくことで、一定程度各部門内で内製化する方法にシフトしているのですね。
吉村様
そうですね。もちろん高度な技術や専門知識が必要とされる場面ではデジタル戦略部がフォローしつつも、初歩的なレベルの課題に対しては、現場で解決できるようにしていくことが目標です。
現場における事業課題の解決を担うハイブリッド人材の育成
IT・デジタル人材育成に関して、現在はどのような教育体系を構築していますか?
吉村様
当社では、業務上必要とされるIT・デジタルに関する専門性の高さによって、3つの人材に分け、それぞれに応じた教育を行っています。
IT・デジタルの専門性が高い順に、「IT・デジタル人材」「ハイブリッド人材」「ビジネス人材」という3つの人材です。「IT・デジタル人材」はIT・デジタル活用の専門家。「ハイブリッド人材」は事業部門にいながらIT・デジタルに関する知識、技術を活用する人材。「ビジネス人材」は事業部門の人材という分類です。
また、IT・デジタルの知識、技術の習熟度レベルも独自の基準を定義し、「インターン」「ジュニア」「ミドル」「シニア」の4段階で表しています。
今回当社にご依頼いただいたのは、ハイブリッド人材育成のための「インターン」レベルの研修でした。研修の対象者はどのように決めたのですか?
渡辺様
当社では、2024年までに育成する人材の目標数値を掲げています。
その上で、対象組織については、積極的にIT・デジタルに関する知見を装着したいという意欲がある部門を優先し、それ以外では事業課題に紐づくDXのテーマが部門内で明確になっている部門も含めました。
また本研修のゴールは、全員がコードを書けるような状態は目指しておらず、IT・デジタルの知見を用いて事業課題の解決プロセスを推進できることです。そうしたゴールイメージを共有したうえで、各部門でメンバーを選定してもらいました。結果的に若手メンバーの参加が多かったですね。
ライオン様では「データリテラシー講座」「問題解決のためのデータ分析講座」「データサイエンティスト基礎講座」という3つの研修を組み合わせ、継続的に研修を実施いただいています。受講者からはこれまでにどのような反応がありましたか?
渡辺様
「有意義で勉強になった」「実務に落とし込み、活用できている」といったプラスの評価がほとんどです。実務活用については、問題解決のワークの際に、自部門の課題をケースとして扱った受講者が多かったのですが、まさに研修を通じて解決に向けたヒントを得ることができ、現場で実践できているという声をいただいています。
これから研修を受けるメンバーも多数控えていますので、引き続き講師の方と連携させていただきながら、受講者が現場で実践に移せる仕組みを継続して用意していきたいです。
関連カテゴリー
ライオン株式会社
その他の事例
-
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントならではの企画力を活かした「AI Academy」の取り組み。AI人材の育成から採用につなげる施策が特徴 -
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
各部門の代表としてDXをけん引するデータアナリストの育成に向けて。受講者が語る、研修での学び -
TOPPANホールディングス株式会社
新たな経営体制のスタートとともに、DXの取り組みも加速。社員一人ひとりが成長に向けてチャレンジできる風土づくりがカギ -
鉄道情報システム株式会社
既存の技術にとどまらず、先進技術も活かした価値提供の実現を目指して。全社にDXを浸透させるための施策
無料DL資料
DX/AI推進に役立つ情報やノウハウをご提供します