Success Stories導入事例
全社員に向けた、レベル別・段階的なオーダーメイドAI人材研修を実施
- 研修前の課題・背景
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レベル別・段階的なAI人の育成によるDXの推進
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AIの民主化・データドリブンな組織に向けた全社員へのデータ活用・AIの素養の必要性
- 研修後の効果
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社内のデジタルリテラシーが指数関数的に高まる
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スキル別の段階的研修で、最適なカリキュラムを提供し、高い満足度を獲得
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AI活用のアイデアが生まれ、社内のデータ活用・AI活用事例が増加
研修のポイント
- AIの基礎を前提知識なしに実際の事例から学べる
- 実際の現場でプロジェクトを推進するための力がワーク形式で身につく
- ハンズオンや、リアルデータでのOJT研修など、アウトプット重視で成果を創出
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対象者
製造部門を除く全社員6500人
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研修期間
約10ヶ月
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研修内容
AIリテラシーに関する研修、AIの基礎に関する研修、機械学習を実践する研修、リアルデータを用いたOJT研修
小さく始め、試行錯誤を重ね、やっと辿り着いたDXビジョンハウス
― ーダイハツ工業のAI民主化の流れは小さな有志の勉強会から始まったと聞きました。
太古様:
2016年頃から自動車業界が大きく変わると言われてきて、その背景にはAIの発展がありました。将来を考えたときに、製造業であってもデータを活かせるかどうかが企業の命運を握っていくと思いました。自分で勉強し始めたところ、周囲にも興味を持ってくれる同僚がいたので、有志の勉強会として機械学習やディープラーニングを学んでいました。その火種が少し大きくなって、業務に活かす方法を検討しようと2017年頃からワーキンググループとしての活動を開始します。最初はエンジンの製造開発にAIを活用しようという取組を行っていました。
様々な場面でAIを業務に活かせるということが分かってきましたが、それを実践するための人材が足りないことがわかりました。そこで優秀なデータサイエンティスト等の人材をまずは確保するにあたり、2020年4月に東京LABOが設置され、東京と大阪の二拠点からアンテナを張れるようになりました。同年5月頃からは事例共有会が開催されるようになるなど、着実に業務へのAI導入が見られ始めたことから、2020年10月にはデータサイエンスグループとして組織体制の中にデータサイエンスがしっかりと組み込まれ、AI民主化を目指す体制が整いました。
― ー味澤さんは東京LABO設置をきっかけとしてダイハツ工業に入社されたんですよね?
味澤様:
私は前職で製薬会社でデータ解析業務を行っていました。製薬におけるデータ解析も大変面白いのですが、扱うデータの幅が広がり、より実社会に近い部分に関われる自動車の仕事に興味を持ちました。東京LABO設置などダイハツ工業が会社としてデータやAIを推進していこうという姿勢を見せていたことも後押しとなりました。データサイエンスグループとしては現在7名となり、新入社員の配属もあります。
― ー2021年からはスキルアップAIもご支援をして、全社的・段階的なAI研修や社内浸透のための施策を開始しました。
太古様:
データドリブンな組織にするためには一部の担当者だけがデータを扱えるのでは達成できない。全員がプロ並みの力を持つ必要は無いけれど、データ活用の素養は身に付けていないといけない。そう考えて、全スタッフ職に対し啓発研修を行いました。現在データを扱っているかどうかに関わらず研修の対象としました。
研修については啓発研修に続いて基礎研修 / 中級研修 / 道場と段階的に設定し、最後の道場では実際にAI導入事例を産み出すことを目指しています。啓発研修は全スタッフ職を対象とし、基礎研修移行は希望者や選抜者に対して研修を行っています。ダイハツ工業ではAI人材を素養人材 / 中核人材 / TOP人材に分類していますので、社員それぞれに合った段階の研修を受けていただけるように用意しています。
また、研修だけでなく、AIアイデア相談会やAI活用相談会を設置し、各部署の業務に関連して思いついたことを気軽に相談したり、形にするまでを伴走できる体制を整えています。更に日々変わっていくデジタルを取り巻く状況をキャッチアップし自分ごと化と仲間作りをしてもらう取組として「ダイハツAIキャンプ」という社内イベントを2022年2月から毎月開催しています。業務時間にも関わらず毎回200人ほどが参加し、同イベントのコミュニティには1,000人以上が参加しています。
味澤様:
研修の効果というのは日々の業務の中で実感していて、全社的なデジタルリテラシーは指数関数的に高まっているのではないかと感じています。社内ではデータやAI活用について相談があったらまずはデータサイエンスグループに問い合わせてもらうようにしていますが、その相談件数が増えています。また増えるだけでなく、その内容が具体的になってきています。社内でデータ活用やAI導入を行った先行事例があり、研修で得た知見を元に自分の部署や業務で横展開できるアイデアを思いつきやすくなっているようです。毎日のように新しい相談を受けていますが、相談内容の精度が高まってきたことで、実際にアウトプットできる割合も高まっています。
問い合わせいただく方の部署に偏りは無く、年代は20~30代の方が多いです。若手の方は、関心が高いことに加え、実際に自分が手を動かして作業をしていることも多いので、アイデアも思いつきやすいのだと考えます。
― ーダイハツ工業の社員の方とお話をさせていただくと、いつもAI民主化の勢いを感じます
太古様:
研修でゼロからAIを学んで道場を経て現場に導入している方など、ロールモデルとなる社員も多く出てきています。また、毎月のイベントやコミュニティでの情報交換等、裾野も広がっていると感じます。しかし会社としてDXを実現するためにはまだまだ道半ばです。私は良く講演等で話す際に「ゆでガエルにならないように」という例えをします。AIを始めとするテクノロジーの進化やビジネスの変化は時に人の想像を大きく超えますので、会社としても意思を示して、今灯っている火を徐々に大きくしていきたいと思っています。
インタビューの翌月、冒頭でご紹介したダイハツ工業の「DXビジョンハウス」と「DX方針」が発表されました。DXスローガンとして「人にやさしいみんなのデジタル」が掲げられています。お客様や社員のためになり、誰も取り残さない、とてもダイハツらしいスローガンだと思いました。
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